Dassault Systemesの日本法人であるダッソー・システムズは1月18日、同社のPLMソリューション「バージョン6リリース2012x(V6R2012x)」の日本市場向け本格展開を開始したことを発表した。

V6はこれまでの前世代ソリューション「バージョン5(V5)」までの技術的な新化に加えて、「3D ライフライク エクスペリエンス」と同社が呼ぶ新たな価値の提供を目指したPLMソリューションで、同社では限りなく現実に近いリアリティや、現状見えているモノを超えるような価値を提供することを目指した機能拡張が図られていると説明する。

すでに日本ではSIM-Driveやニコンなどが採用を表明しているが、こうした導入企業に共通することは、V5やそれ以前のバージョンから中長期的な付き合いを続けてきており、カスタマとベンダとしてのやり取りの中からカスタマが求めるニーズを機能として追加するという関係が構築されていることだという。

V6R2012xの最大の特長は、下位互換性の確保によるV6とV5間での共存環境の構築が可能となったこと。CATIA V4からV5への移行はUNIXからPCへとアーキテクチャが移行したことに伴う切り替えの手間などが生じていたが、V5とV6ではジオメトリカーネルは同じものを使っており、今回のリリースによりV6で作成されたモデルであってもV5で履歴付きで作業することが可能となった。

V5に様々な付加機能を追加したものがV6の位置づけとなる

また同社では、V5に関して「少なくとも2020年までは継続してサポートを行っていく」としており、今後はV5とV6が並存する形がとられ、V6のモデルを読むことが可能となるため「V5-6」となり、2012年の第1四半期中にリリースされる予定の「V5-6R2012」からはCATIA V5とCATIA V6のリリース時期が同期するという。

これまでのV5とV6は従来同様リリース間での上位互換のみであったが、V6R2012xにより下位互換性を確保。これによりV5とV6の混在環境での作業が可能となった

なお、V5からV5-6へのアップデートは、現在V5の保守契約を結んでいるカスタマは通常のリリースのアップデートの範疇に入るため無償とのことである。

このほか、V6R2012xでは2つの製品が追加された。1つが「CATIA Natural Sketch」で、もう1つが「SIMULIA ExSight」だ。Natural Sketchは、デザイナーがアイデアを具現化するためのツールで、一般的に用いられてきた2Dでのスケッチをそのまま3D化することができるようになるというもの。CATIAと連動させ、3D化したスケッチ上に人を配置したり、スケッチとは異なる角度で画像などを確認しつつ作業を進めることが可能となっている。

一方のSIMULIA ExSightは同社のリアリスティック・シミュレーション・ソリューション「SIMULIA」のポートフォリオに追加された製品で、専門家向けのツールとなっている。2011年12月に出されたリリース第1弾では、既存のV6ユーザーにフォーカスした周波数解析などの機能が搭載されており、2012年5月に予定しているリリース第2弾(R2013)移行で、将来的には解析を行うすべての人に向けたツールを目指し、ワークフローの最適化機能などを提供していく予定。

なお、V6とV5間の互換性はV5のリリース間での互換性よりも高いが同社では、今後もV5間での下位互換は予定しておらず、従来どおりの仕様が継続する予定としている。

V6のデータがV5でも編集することが可能になるが、V5間の互換性は従来どおりのままのため、V5/V6混在環境の方が互換性という意味では高いと同社では説明している