デジタルステージが運営するウェブに携わる人たちを対象にしたフリースクール「ウェブコンポーザー学校」のイベントとして、12月18日に秋葉原の「3331 Arts Chiyoda」にて『冬の文化祭2011』が開催される。本イベントでは、ソーシャルメディアの活用術を実践的に学ぶための様々なセッションが予定されている。当日ゲストトークセッションに登壇するデジタルステージ代表の平野友康氏、ヒマナイヌ プロデューサーの川井拓也氏、現代編集者・コンテンツディレクター/NOMAD TOKYO主宰の米田智彦氏に話を聞いた。
昨今、ソーシャルメディアはリアルな生活に影響を与え始めている。例えば、知り合いとの定期的なソーシャルメディアでのやりとりにより長い間会っていない人とでも"久しぶり"という感覚がなくなってきていたり、新しい偶然の出会いがもたらされたりする。この"常に誰かとつながっている"、"いつでもつながることができる"という感覚が新しいコラボレーションを生み、ときには仕事を生む。もはや、ソーシャルメディアは"飯を食えるかどうか"だけでは語れない、ひとの生活スタイルにも変化を及ぼしている。
このように、ソーシャルメディアで生活を築いているひとたちに共通しているのは、いち早く"ソーシャルメディアが来る"というトレンドをキャッチし活動を始めたという点。まさにそれを実践してきたこの3名は"ソーシャルメディアの賞味期限"を肌で感じ始めているという。以前は、本当にソーシャルメディアについて勉強したいアーリーアダプター層が多く、USTREAM上でそういった講座を始めると非常に注目された。しかし最近は、ソーシャルメディアを利用することが一般的になってきており、USTREAMもラジオのように生活の中に存在するのが当たり前になっている。「ソーシャルメディアを使って手がけるコンテンツやプロジェクトには賞味期限がある。これから2年以内にマネタイズできないとソーシャルメディアを生業にはできなくなる」(平野氏)、「ソーシャルメディアを生業にするには、フロンティアスピリッツを持って、ゴールドラッシュを追い求めなければいけない。トレンドが劣化し始める前に、次々に新しいトレンドをキャッチしていかなくては行けない」(川井氏)とそれぞれが語った。
トレンドの移り変わりが早いソーシャルメディア業界で生き残るためのヒントは「横のつながり」にあると語る川井氏。要は、お金をもらう対象が身近な存在になりつつあるということだ。例えば、有料メールマガジンの流行がそれにあたる。日々の学びや気づきの発信に対して、これからも頑張ってほしいから応援するという気持ちを、少額のお金を渡すという行為で表す、そんな「マイクロパトロン」という考え方が浸透してきている。Facebookの"いいね!ボタン"を押すような感覚でお金をやりとりするのだ。メールマガジン以外にもUSTREAMで自分の番組を立ち上げ、放送内容のまとめ本を出版する。さらに、同じモデルは電子書籍にもあてはまると米田氏は推測する。このような横のつながりを起点としたマイクロパトロンという考え方には、仕事相手は自分のファンでもあり、楽しませなければいけないお客さんでもあるという独特の緊張感があって面白い。
イベント当日は、この3名のほかTwitter部長ことトリドールのマーケティング推進プログラム部長 末広栄二氏が加わり、さらに深いソーシャルメディアの可能性についてリアルなトークセッションが繰り広げられる予定。「ひとから見聞きした話は一切なし。全て自分の体験をもとに語る」、「会場にいる皆さんが知っているような話が出たら、途中でも話を変える」、「イベントは生ものなので、どんどん生々しい話をしていきましょう」という3名の言葉に文化祭への期待がふくらむ。
『冬の文化祭2011』は2011年12月18日、秋葉原の「3331 Arts Chiyoda」にて開催。その模様はウェブコンポーザー学校のUstreamチャンネルで無料配信される。