ヤマハは、スマートL2スイッチ「SWX2200」を2011年2月に発売したのに合わせ、合計100名を対象とするモニターキャンペーンを行った。
キャンペーンに参加したユーザーからの意見はすでに紹介しているが、今回はキャンペーンに参加し、半年間試用したユーザーを訪問し、実際の使い勝手を取材した。訪問したのは、兵庫県神戸市に本社を置くマルカン酢だ。マルカン酢は、1649創業の老舗メーカーで、食酢の製造販売および関連食材の販売を手掛けている。
マルカン酢で取材に対応いただいたのは、経営企画室 主査でシステム担当の荒木恵一氏。荒木氏は、SWX2200の発表やキャンペーンの情報をヤマハのメーリングリストで知ったといい、キャンペーンを募集する前からこのスイッチには注目しており、搭載している機能をWebでチェックしていたという。
なお取材には、SWX2200の開発を行ったヤマハ サウンドネットワーク事業部 商品開発部の新井田博之氏も同行。荒木氏から寄せられた疑問や質問に、実際に機器を操作しながら回答した。
GUI画面は原因究明に役立つ
現在、マルカン酢の社員は100名ほどで、これまで60-70台のクライアントマシンを、ヤマハ製ルータRTX1500、RTX1100、RT57iと、他社製スイッチを組み合わせて管理していたという。
荒木氏によれば、ルータはリモートアクセスやファイアウォールの設定などで、比較的触れる機会は多いものの、スイッチは何かトラブルがあったときに設定を確認する程度で、その頻度は年に1回くらいだという。そのため、スイッチの設定方法を忘れてしまうことも多く、その都度マニュアルで確認していたという。
このような理由から、スイッチとルータを一括して設定・管理できるSWX2200には、発表当初から興味を持っており、それがキャンペーンに応募するきっかけだったという。
特にチェックしたかったのは、トラブル発生時の原因究明のしやすさ。荒木氏は、「現在、拠点ごとに異なるスイッチを利用していますが、つながらないという相談が寄せられたとき、結局スイッチが原因で、ポートをつなぎ変えたらつながったということがありました。ただ、これが原因だとわかるまではかなり苦労しており、難点となっていました」と説明した。
これに対し新井田氏は、正しい時点のトポロジー表示画面をWindowsのプリントスクリーンでプリントアウトし、保存しておく方法を勧めた。SWX2200には、ルータ・スイッチ双方を含めたネットワークの構成やポート状態をルータのGUI上で表示できる。新井田氏はこの機能を活用し、設定後の正しい状態のGUI画面をコピーして保存し、異常があった場合、表示されたGUI画面と構成を見比べれば、違いが一目でわかり、原因究明に役立つとアドバイスした。
これに対して荒木氏は、「支店から接続できないといわれた場合、ハブが悪いのか、PCが悪いのか、それともポートが悪いのかわからないことがよくあります。場合によっては、ハブの電源が抜けていただけということもあります。ただ、そんな原因でもつかむには、かなり調べないとわからないので、GUI画面でハブが動いていないことがわかれば、素早く原因を究明することができます。支店の人に、電話で指示してコマンドを打ってもらうのは大変ですから」と語った。
また、ヤマハでは現在、トポロジーに異常があった場合に警告を出すというカスタムGUIも作成中で、今後Web上で公開する予定だという。
ホスト検索はカスマイズ可能
また、新井田氏は原因究明に役立つ「ホスト検索」という機能も紹介。
ホスト検索機能は、LAN内に接続されているPCのホスト名やMACアドレスから、それが接続されている物理的なポートの位置を検出できるものだ。さらに、カスタムGUIとLuaスクリプト機能を使うことで、ポートを指定してそこに接続されているホストを表示させることも可能となる。
カスタムGUIは、ユーザーが独自に設計したGUI (WWWブラウザに対応するユーザインタフェース) をルータ組み込むことができる機能で、ヤマハルータにはホストからHTTPで設定を転送するためのインタフェースが用意されており、ユーザーはJavaScriptを使用してGUIを作成する。これを利用すれば、管理者ではなくても、一般権限でスイッチの状態を参照できるという。
具体的には、MACアドレスの対応表をCSVファイルで作成し、これを参照することにより、検索結果に表示されるホスト名を自由に設定できる。さらにこの機能を応用すれば、ホスト管理者の名前、資産登録名、DHCPサーバや資産管理ソフトで管理しているホスト情報を検索結果に表示させることも可能だ。