調査結果を発表した野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 主任コンサルタント 前原孝章氏

野村総合研究所とグーグルは10月19日、共同で実施したインターネット経済調査の結果を発表した。総務省や財務省、各種調査機関の統計資料と、独自に実施した中小企業経営者および一般インターネットユーザーへのアンケート結果を組み合わせ、インターネットの日本経済への貢献度を分析している。

調査結果を発表した野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 主任コンサルタントの前原孝章氏はまず、国内のインターネット産業の規模について「約20兆円で、日本のGDPの約3.7%にあたる」と説明。同産業の2005年から2009年までの5年間におけるGDP成長率は7.9%で、他の産業を大きく上回る結果になっているという。

また、インターネットで情報を収集して実店舗で購入に至ったような"インターネットに喚起されてた消費"を含む「広義のインターネット産業」についても言及。その規模は約42兆円で、「GDPの7.7%に相当する」(前原氏)とした。

インターネット産業のGDPの内訳

産業別で見ると、運輸業に次ぐ8番目

グーグル 代表取締役 有馬誠氏

さらに今回の調査では、県/地方別に、企業のWebサイト保有率と従業員1人あたりの売上平均や、Eコマース実施比率と1人あたりのGDP成長率などについても関係を調査しており、前原氏は「Webサイト保有率やEコマース実施比率が高い県/地方ほど、1人あたりの売上やGDP成長率が高いという結果が得られた」と解説した。加えて、Webサイトを保有する中小企業の数は一定のペースで増え続けていると言い、「同じペースで増加した場合、5年後には10兆円規模の付加価値向上が期待できる」と予測した。

県別にまとめた、企業のWebサイト保有率と従業員1人あたりの売上平均の関係

地域別にまとめた、Eコマース実施比率と1人あたりのGDP成長率の関係

前原氏は、今年3月に発生した震災の影響についても説明。ハナサケニッポン、復興牡蠣プロジェクト、三陸とれたて市場といった事例を紹介したうえで、「ビジネスインフラが失われたなかで、インターネットによって広告宣伝、資金調達を行うプロジェクトがあった」とコメント。「インターネットが経済活動のセーフティネットのような役割を果たした」と分析した。

インターネットを復興活動に活用した事例