東京商工リサーチは9月30日、都内の100社に対し実施した、10月1日に施行される東京都の「暴力団排除条例」に関するアンケート調査の結果を発表した。これによると、5社に1社が過去に反社会勢力からクレームなど何らかの接触があったと回答したという。
今回の調査は、東京都内の上場企業と未上場企業100社を無作為に抽出し、有効回答は49社(上場企業28社、未上場企業21社)。
都の暴力団排除条例の認知について尋ねたところ、ほとんどの企業が「知っている」と回答したが、「詳細まで知っていた」企業は24%にとどまった。
都の暴力団排除条例について知っていたか? 資料:東京商工リサーチ |
過去に反社会勢力からクレームなどを受けたことがあるかと聞いたところ、「過去にあった」という回答が20%に上った。反社会勢力への対応について、弁護士や関係各所へ相談したことがあると回答した企業は67.7%となった。
暴排条例の施行を前に、取引先を事前チェックした企業は23%、契約解除まで至った企業は8%あった。取引先の見直しを行っていない企業が69%に上ることから、同社は「条例の意図がなかなか浸透していない実態も垣間見える」としている。
暴排条例の施行により「営業面で影響を受ける」と回答した企業は36%あった一方、「まったく影響がない」と回答した企業は62%に達した。
こうした結果に対し、民事介入暴力に詳しい弁護士は「(暴力団の存在を)過小評価しすぎている」と警鐘を鳴らすしているという。「この数字を見る限り、自分の商売は暴力団と関わる危険がないと油断している感が窺える。当事者が認識しなくても、いつの間にか暴力団の活動を『助長』する可能性もある。暴排条例では事業者に対して、契約相手方が反社関係者でないかを確認することなどを義務付けており、最低でも一通りは取引先の洗い出し作業を行う必要がある」と指摘しているとのこと。