こちらの記事で紹介しているデータに関しては、AptiQuantの捏造であることが後日わかりました。詳細は、8月4日掲載の本誌記事『「IE離れにIQが影響」は巧妙な捏造、悪質な宣伝行為の疑いも』をご覧ください。

AptiQuantというカナダの心理測定コンサルティング会社がブラウザ選びとユーザーのIQ(知能指数)の関係を調べたレポートを公開した。Internet Explorer(IE) 6から同9まで、IEの4つのメジャーバージョンが下位を独占しており、同社はこの結果をブログで「Internet Explorerは愚かもの向け? 新調査がその事実を暗示」と伝えている。

AptiQuantの調査は16歳以上を対象に、年齢に応じたウェクスラー成人知能検査を用いてウエブ経由で行われた。米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの英語圏の国で、4週間の調査期間に101,326人のネットユーザーが協力したという。結果は、使用ブラウザごとに分類して平均IQスコアを算出し、2006年に行った調査と比較した。

平均IQスコアがもっとも高かったのはOperaユーザーで、以下Camino、Safari、Chrome、Firefoxと続いた。これらはいずれも、スコアが100を超えており、またバージョンの違いによる差は見られなかった。IEはすべてのバージョンが100未満で、IE7と最下位のIE6が特に低いなどバージョンごとの差が顕著だった。

ブラウザ別のユーザーの平均IQスコア。赤が最新調査の結果、青は2006年の調査結果

パーセンタイル値で見ると、IE7は0パーセンタイル(IQスコアが最も低いグループ)が約34%で、99パーセンタイル(IQスコアが最も高いグループ)は4%。IE6は0パーセンタイルが12%で、99パーセンタイルが0%。平均IQスコアのパーセンタイル値を横軸、ブラウザごとのユーザー比率を縦軸にした折れ線グラフでは、IE以外のブラウザが緩やかな山形または右上がりであるのに対して、IEはいずれも右下がりだ。

2006年の調査ではブラウザの違いでユーザーの平均IQスコアに大きな差はなかった。むしろIEユーザーのスコアは比較的高く、IE6ユーザーとIE7ユーザーの平均が100を超え、Operaを上回っていた。IE6、IE7ともに最新調査で約20ポイントも下落したことになる。「この比較は、過去5年の間にIQスコアが高いグループでよりInternet Explorer離れが起こったことを明確に示している」とAptiQuant。IQが高いグループほどWeb標準対応やモダンブラウザの可能性に敏感で、それはIE離れだけではなく、IEのバージョンごとの差にもつながったようだ。IEユーザーでもChrome Frameの利用者はスコアが120を超えている。

最新調査ではHTML5対応が強化されたIE9も100を大きく下回っているが、これは一度離れたユーザーがIEに戻ってきていないためと考えられる。ハードウエアアクセラレーションなどを活用し、より速いHTML5サポートを追及しているIE9は、OperaやFirefox、Chromeなどのユーザーからも高く評価されている。それが実際のブラウザ利用にどのような変化となって現れるかが、次回調査の注目点になる。