20周年の節目でEVへシフトが進む

自動車に関する国際総合展示会である「自動車技術展・EV技術展:人とくるまのテクノロジー展 2011」が5月18~20日の3日間、パシフィコ横浜において開催されている。

出展社数が前年の397社から370社に減少した一方で、出展小間数は前年の809小間から833小間に拡大している。東日本大震災の影響で出展を取り止めたメーカーがあり、数社の常連のメーカーが出展していない違和感はあったが、初日の来場者の賑わいは例年並みの印象を受けた。

今回は20回目の節目の開催となったが、これまでの変遷を辿るコーナーを設けた以外は20周年の特別な催しはなかった。震災の影響が残る中、逆にこれまで通りの開催を行い自動車関連の最新技術を発信することが産業界の復興に繋がるとのメッセージが込められていた。

同展示会20年の変遷

また、展示会の名称にEV(電気自動車)技術展が加わり、EV関連の展示への注力が多くみられた。主催者の特別企画展示として、「車両電動化が拓く新しいくるま社会~くるまが変わる/人・社会が変わる」をテーマにEVに関する車両展示、要素技術、インフラに関する提案を行った。さらに昨年と同様にEV・HEV・PHEVや電動バイクの試乗体験コーナーが設けられていった。

以下で、EV関連を中心に出展内容を紹介する。

電動バイクの試乗

EV市場拡大を睨む新製品の紹介

EV市場の拡大に向けて、自動車メーカーからは新製品や発売予定品の紹介が見られた。

三菱自動車工業は、すでに市場投入している電気自動車「i-MiEV」に続く第2弾製品として軽商用電気自動車「MINICAB-MiEV」を出展した。モータやインバータ、リチウムイオン電池などにi-MiEVで実証した技術を投入し、最高速度は100km/hを実現している。一充電走行距離は10.5kWh仕様で約100km、16.0kWh仕様で約150kmとなっている。荷室内寸法は1830×1370×1225mmで、ミニキャブバンのガソリン車と同等の積載性を有する。

三菱自動車工業の軽商用電気自動車「MINICAB-MiEV」

本田技研工業は、新型Civicハイブリッド向けのリチウムイオン電池「12M Civic Hybrid」を出展した。従来品のNi水素電池「06M Civic Hybrid」が1.2V/cellの円筒形セルを132セルで電圧158Vを実現したのに対し、新製品のリチウムイオン電池は3.6V/セルの角型セルを40セルで電圧144Vを実現。電圧は下がったが、リチウムイオン電池により高効率化し、出力は従来比33%増の20kW(27hp)、体積は同36%減の16l、重量は29%減の22kgとなっている。

本田技研工業の新型Civicハイブリッドリチウムイオン電池

GMのE-REVが本邦初公開

ゼネラルモーターズ・ジャパンは、E-REV(Extended Range Electric Vehicle:航続距離延長型電気自動車)「シボレー・ボルト」を出展した。米国では2010年12月から販売されているが、日本では今回の展示会が初公開となった。

シボレー・ボルト専用に開発された「VOLTEC駆動システム」は、プラグイン充電機構、電動モータ駆動、エクステンデッド・レンジ(航続距離延長)機能を統合している。容量16kWhのリチウムイオンバッテリーと出力111kW(149hp)の駆動モータにより、フル充電状態で40~80kmまで電気走行が可能。バッテリー残量が少なくなると自動的にエクステンデッド・レンジ走行モードに切り替わるが、通常のハイブリッドカーと異なり、1.4lガソリンエンジンの63kWのパワーで充電状態を最低レベルに維持すると同時に電動モータを駆動させる。これにより航続距離を最長610kmまで延長できる。最高速度は純電動走行の場合で時速160kmに達するという。なお、外部電源による充電に要する時間は、240Vで約4時間、120Vで10~12時間となっている。

米国での平均的な顧客は1600km無給油であり、走行距離や公共充電スタンドなどの社会インフラ整備を心配することなく、安心して走れるという。今後は日本での実証走行を進める。

ゼネラルモーターズ・ジャパンのE-REV「シボレー・ボルト」