通信機器最大手のスウェーデンEricssonは5月11日から2日間、米サンノゼで「Business Innovation Forum 2011」を開催した。スマートフォンとタブレットのブームでモバイルネットワークの存在感が高まる中、同社は2020年に500億台の端末がインターネットに接続する時代を見据えている。Ericssonの戦略は何か? 最高戦略責任者のDouglas Gilstrap氏が初日の基調講演で明かした。

Ericsson 最高戦略責任者のDouglas Gilstrap氏

Gilstrap氏は冒頭、「現在、転換点にある」と述べた。これまで純粋な加入者の増加に支えられてネットワークの構築が進んだ。今後はネットワークの活用にフォーカスがあたる。ここでは、アプリケーションの実装やユーザーインタフェースが重要になる。Ericssonはモビリティ、ブロードバンド、クラウドの3つを柱とする戦略で、新しい時代でもリードをとる狙いだ。

モビリティでは、いつでも・どこでも情報にアクセスするだけでなく、高品質を差別化とする。クラウドで新しいアイディアを迅速に展開するタイムツーマーケットを実現することから、クラウドの中にはさまざまなコンテンツ、サービス、エクスペリエンスがある。また、無視できないメリットが、より容易かつ低コストでアプリケーションにアクセスできるという特徴だ。そのクラウドにアクセスするパイプがブロードバンドだ。Ericssonでは、クラウドへのアクセスの70%がHSPAやLTEなどのモバイルブロードバンドになると見ており、高品質なブロードバンドとクラウドは手を取り合って進むことになるという。

モバイルサービスの加入者は現在55億人、2016年には85億人に達する予想という。人だけではなく、デジカメや車、家電などのモノもインターネットに対応し、データをやり取りするようになる(M2M)。実際、産業界のモバイルへの関心は高く、製造、製薬、物流、さまざまな業界がモバイル対応のためにEricssonを訪れるという。

家庭などの場所(固定)、そして人(携帯電話)、次にネットワークにつながるのはモノだ

クラウドでは、Ericssonは2月に米Akamai Technologiesとの提携を発表した。「Akamaiはコンテンツ配信技術のリーダー、Ericssonはモバイルのリーダーだ。2社が手を組むことで、モバイルで最高のコンテンツ利用エクスペリエンスを提供できる」とGilstrap氏。「アプリケーションやデバイスを問わず、アクセス、レイテンシー(遅延)、べストパフォーマンスをエンドツーエンドで実現する」と続ける。

Gilstrap氏はこのような社会を"ネットワーク社会"とし、「Ericssonはここでカタリストとして牽引していきたい」と抱負を語った。