東芝は4月20日、4月1日付けで発足したデジタルプロダクツ&サービス社の事業戦略について発表した。同組織は、テレビやレコーダーなどのデジタル家電事業を担当していたビジュアルプロダクツ社と、PC事業を担当していたデジタルプロダクツ&ネットワーク社を統合し、発足した新組織だ。
執行役上席常務兼デジタルプロダクツ&サービス社社長を務める大角正明氏は、「新組織はテレビとPCの融合と連携を加速し、新たなデジタル市場を創出する商品展開を行う。また、テレビ、PC、タブレットが連携したサービス、アプリケーションの展開を加速する。これまでのPC事業で培ってきた調達力、ODMを管理する能力、少数精鋭による開発体制などのコスト構造において優位性が出せる。軽さとスピードが新たな組織のカギになる」と説明した。
新組織では、これまでの商品別事業体制を改め、テレビとPCの横断的商品統括部門を新設。設計開発センター、生産・調達センターなどと共に横断型組織とする。同時に、「日本地域担当」、「北米・欧州・豪州・ロシア・中南米地域担当」、「アジア・インド・中近東・アフリカ地域担当」、「中国地域担当」とした地域別事業体制を敷き、地域密着型のスピードを持ったマーケティング、販売活動を図るという。
「現時点では、グローバルにおける液晶テレビとノートPCの合計台数シェアで世界4位。このスケールメリットを生かした生産・調達によるコスト力向上と、開発リソースの最大化を図るほか、新興国向けの戦略商品を積極的に投入することにより、2013年度には全世界の液晶テレビとノートPCの合計販売台数を6,000万台とし、グローバルシェアを10%にまで拡大する」
2010年度のグローバルの実績は、テレビが1,400万台、ノートPCが1,900万台の合計3,300万台となっており、これを2倍近い規模に引き上げることになる。2011年度は、テレビが1,800万台、ノートPCが2,200万台の合計4,000万台を目標とし、2013年度にはテレビが2,500万台、ノートPCが,3500万台の合計6,000万台を目標としている。
まずは日本市場においては、4型のスマートフォンのレグザフォンから、Android搭載タブレット、55型の液晶テレビまでのラインアップを揃えることで、「ポータブルから大画面までのレグザワールド」を展開。一方で、新興国市場では、エントリーモデルに加えて、都市部の富裕層向け高付加価値商品を投入するとともに、中近東、アフリカ、中南米での販路拡大、インドを中心に広告投資の積極化を図る。
「新興国における市場伸張率が高いことが見込まれており、この市場をどう取り込むかが、テレビ/PC事業にとって最重要課題と見ている。アジア地域では、2010年度までに一定のポジションを獲得しており、テレビでは対前年比240%増、ノートPCでは対前年比170%増となった。この実績をもとに、新興国での事業を拡大していく」と、同氏は述べた。
またタブレット事業に関しては、「当社の映像技術を駆使し、さまざまな地域のニーズに対応した東芝らしいタブレットを市場に投入する。世界一、世界初となる機能も搭載する。2013年度におけるグローバルのタブレット市場で10%のシェア獲得を目指す。ここでは、単一の製品として投入するのではなく、テレビやPCと融合した新たなサービス需要が見込まれる」と同氏。
東芝では、2013年には全世界で1億台のタブレット市場が創出されると予測しており、10%の市場シェア目標から逆算すると、1,000万台の出荷を目指すことになる。
一方、同氏は今後投入する新たな製品群についても言及した。2011年にはレグザブルーレイを進化させた「レグザサーバー」を商品化し、同サーバに蓄積したコンテンツを、レグザやレグザタブレットで視聴するといった使い方を提案。また、2011年7月下旬には、世界初となるグラスレス3DノートPCを製品化し、さらに大画面のグラスレス3Dレグザ、グラスレス3Dタブレットを商品化することも明らかにした。タブレットについては、2011年6月下旬に「AT300」を発売することも発表している。
さらに電力需要に配慮した製品として、AC電源からバッテリー電源への切り替えが可能なピークシフト機能搭載テレビを、7月に商品化することを発表。「今後、32型などの大型化も図っていく予定」とした。ノートPCでは、すでに電力使用のピーク時間帯に自動的にAC電源からバッテリー駆動へと切り替えるピークシフトコントロールPCを投入しているが、このラインアップも拡充する。
同社は今後、「みんなにできること。東芝にできること。」をキーワードに、節電をお願いするテレビCM放映する予定だ。