大日本印刷(DNP)は4月20日、薄型電子部品の製造工程で使用される耐熱性の粘着フィルム2種類を開発したことを発表した。いずれも2011年7月に販売を開始する予定。
モバイル端末などの電子機器は、小型化・高機能化にともない、機器に搭載される電子部品も薄型化が進んでおり、製造工程での取り扱い性の向上のために、粘着フィルムで製品を仮固定し、作業の後に剥がすという手法が用いられている。しかし、フレキシブルプリント基板(FPC)における熱圧着や樹脂硬化などの製造工程で150℃~160℃の高熱が加えられる場合、粘着フィルムの粘着力が高くなってしまうため、フィルムが剥がれにくくなり、剥離後にも粘着剤が残るなどの課題があった。
今回、DNPでは、こうした課題を解決するため、耐熱性の高い高分子系の樹脂を応用し、高熱が加わる製造工程においても使用できる耐熱性粘着フィルムとして、加熱後でも紫外線(UV)を照射することで簡単に剥がすことが可能な「UV剥離タイプ」と、UV照射不要で電子部品の不具合の原因となるシロキサンガスを発生しない「微粘着タイプ」の2種類を開発した。
UV剥離タイプは、180℃までの加熱工程後でも、UV照射によって容易に粘着フィルムを剥離することができるもので、FPCなどの製造での利用に適しているという。
一方の微粘着タイプは、200℃までの加熱工程後でも、UV照射なしで容易に粘着フィルムを剥離することができるというもの。従来の「微粘着タイプ」の耐熱性粘着フィルムで使用されているシリコーン系粘着剤は、電子部品の不具合の原因となるシロキサンガスを発生する恐れがあったが、同製品はシロキサンガスを一切発生しない点が特長となっている。
なお、DNPでは、2製品をエレクトロニクス関連部材メーカーに向けて販売を行っていくことで、2012年度までに30億円の売り上げを見込んでいるという。