4月8日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2010年度(2010年4月1日~2011年3月31日)の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年度の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では1万1,496件/4兆5,573億7,600万円、商工リサーチの発表では1万3,065件/4兆7,245億8,400万円となっている。

帝国データバンクの調査結果

2010年度の全国企業倒産の件数は前年度の1万2,866件に比べて10.6%の2ケタ減少となり、2年連続の前年度比減少となった。月別推移では、4月以降、前年同月比2ケタの減少率が4ヵ月続くなど、年度前半に大幅減少が目立った。後半にかけては、1月に1年5ヵ月ぶりに前年同月を上回るなど、減少幅は縮小した。

2010年度の負債総額は前年の7兆214億6,100万円と比べ35.1%の減少と、2年連続で前年度を下回り、過去10年で最少を記録した。月別推移では、9月に日本振興銀行や武富士の大型倒産が発生したが、4月以降総じて低水準が続いた。

全国企業倒産件数の推移 資料:帝国データバンク

負債総額の推移 資料:帝国データバンク

業種別では、7業種すべてが前年を下回った。不動産業(350件)が前年比20.1%の大幅減少となったほか、製造業(1712件、前年度比14.8%減)、卸売業(1,636件、前年比14.1%減)でも減少が目立った。

地域別でも9地域すべてが前年を下回った。なかでも、北陸(367件、前年比22.2%減)、四国(229件、同23.2%減)のは前年比20%を上回る大幅減少となった

2010年度の倒産は1万1,496件で、前年度比10.6%の2ケタ減少となり、同社では「各種政策効果で減少した2009年度の流れをそのままに、2年連続で前年度を下回った」とコメントしている。一方、負債総額は4兆5,573億7,600万円で前年度比35.1%の大幅減少、2年連続で前年度を下回った。負債1兆円を上回る超大型倒産は発生せず、負債100億円以上の倒産も35件(前年度58件)と、過去10年で最少を記録したことが主な要因となった。

東日本大震災の影響については、「すでに顕在化している自動車やテレビなどの基幹部品の調達難による生産停滞の長期化、各地の下請企業の業況悪化が懸念されるほか、今夏にも実施予定の計画停電がもたらす各産業への影響も甚大。旅館・ホテル、パチンコホール、広告、百貨店、外食など自粛ムード継続による流通、サービス業の業績悪化は避けられず、原発の風評被害を受ける農水産業への影響も無視できない」としている。

商工リサーチの調査結果

2010年度の倒産件数は、1万4,732件だった前年に対して11.3%減と、2年連続の減少で4年ぶりに1万4,000件を下回り、年度としては戦後31番目だった。その要因としては、減少要因としては、帝国データバンクと同様に、景気対応緊急保証制度や中小企業金融円滑化法などの金融支援策効果が挙げられている。

2010年度の負債総額は、7兆1,367億500万円だった前年に対し33.7%減と、2年連続で前年を下回った。年度としては戦後31番目の規模で、1990年度(3兆2,753億1,400万円)以来20年ぶりに5兆円を割り込んだ。負債10億円以上の大型倒産が、同21.1%減の551件となり、年度としては1990年度(332件)以来の低水準にとどまったことが影響した。

全国企業倒産年次推移 資料:商工リサーチ

産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、9産業が前年度に比べて減少した。唯一増加したのは、農・林・漁・鉱業のみ(80件→94件、前年度比17.5%増)。

地区別では、6年ぶりに北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区すべてが前年度を下回った。減少率は、中国25.4%減(577件→430件) 、九州20.1%減(1,050件→838件)、北陸19.3%減(408件→329件)、東北16.2%減(688件→576件)、四国13.3%減(360件→312件)、近畿10.6%減(4,050件→3,618件)、関東10.2%減(5,489件→4,927件)、北海道6.7%減(489→456件)、中部2.5%減(1,621→1,579件)の順。

主要産業倒産件数推移 資料:商工リサーチ