米Microsoftは12月7日(現地時間)、Internet Explorer 9 (IE9)の新機能となる「Tracking Protection(トラッキング対策)」を明らかにした。Webサイト閲覧中に、ユーザー情報がWebサイト間で共有されるのを防ぐ機能になる。リリース候補版から実装される予定だ。
今日のWebサイトは、広告ネットワークなど複数のWebサイトのコンテンツを組み合わせて構築されている場合が多い。そのようなWebサイトを訪れると、ユーザーの情報が複数のサイトに送られることになる。こうしたデータは行動ターゲティング広告などに使われており、Webサイトの利用体験を向上させる仕組みとも言えるが、ユーザー情報が共有されている様子がユーザーには見えない。プライバシーが十分に保護されているとは言い難く、連邦取引委員会 (FTC)が12月1日(同)にオンライントラッキングをユーザーが拒否できる仕組みの実現を提案したばかりだった。
IE9のトラッキング対策機能は、オンライントラッキングを識別し、外部サイトへのデータ送信をユーザーがコントロールできるようにする。トラッキング拒否の場合、Tracking Protection List (TPL)というリストに記載されたWebサイトに対して、ユーザーがリンクをクリックまたはアドレスを入力した場合を除いてブラウザがアクセスしなくなる。
TPLはデフォルト状態では空白だ。ユーザー自身によるリスト作成のほか、公開されているリスト(Creative Commonsライセンス)をインポートすることも可能。登録したリストの更新が自動的にTPLに反映される機能も用意するという。
TPLでは逆に、特定のアドレスに対して訪問を許可することも可能だ。トラッキング対策によってWebサイトの利用体験が著しく害される場合は、Webサイト側が最低限許可すべき外部サイトのリストを提供すれば良い。コーポレートバイスプレジデントのDean Hachamovitch氏によると、TPLは透明性を重視した設計になっており、TPLを通じてユーザーは情報を共有している外部サイトを把握できるという。
IE9のトラッキング対策機能は、ユーザーがプライバシー保護とWebサイトの利用体験をコントロールする仕組みである。Microsoftはプライバシー擁護団体、Webサイトのネットワークや団体などに対して、コンシューマに薦められるリストを積極的に作成するように呼びかけている。