リコーは11月18日、「リコーテクノロジーセンター(RTC)」(神奈川県海老名市)に建設した新棟を報道陣に公開した。この新棟(C棟)には同社の開発・設計部隊を中心とした約3,000名が集結。既存の施設とあわせて同センターには、同社の全従業員の約半数となる約5,000名が集約されることになる。ここではその内部をフォトレポートとして紹介する。

リコー 代表取締役社長 社長執行役員 近藤史朗氏

同社は2005年にRTCを開設し、開発から設計、生産準備、購買、評価といった一連の機能の同センターへの集約を進めてきたが、従来の事業部単位から「開発」「設計」などの"機能"単位でのレイアウトを実現した新棟により、さらなる新製品開発期間の短縮などを図る。

「ここまで大規模な開発拠点を設置するのは当社として初めて」(同社代表取締役社長 社長執行役員 近藤史朗氏)とされる同センターは、新棟の完成により、今後「つくる」ことに関する"本丸"として新たなスタートを切ることになる。

リコーテクノロジーセンター 事業所長 小林悦雄氏

記者会見ではリコーテクノロジーセンター 事業所長 小林悦雄氏が、「知識創造・知識交流を促進する場」「快適で、働きやすく、人にやさしい場」「様々な環境に対応する環境配慮した場」「信頼性と安全性を追求した場」といった同センターのコンセプトとなる"4つの軸"について説明を行った。

今回公開された新棟で「知識創造・知識交流を促進する場」を具現化したのは、「コラボスペース」と呼ばれる吹き抜け構造の3フロア(または2フロア)が一体となった空間。この空間にはエスカレータが設置され、従業員の柔軟な往来を可能にし、事業部をまたいだコミュニケーションの促進も図られる。

吹き抜け構造による開放的な空間となっている「コラボスペース」

「ヒット商品から学べることは多い」とのことで、ダイソンの掃除機やiPadなど、同社の事業領域外の商品がコラボスペースに用意されていた

コラボスペースの端にはマッサージチェアが1台。これも"学ぶ"ため!?

「快適で、働きやすく、人にやさしい場」は、オフィススペースのレイアウトや研修設備、食堂、ロビーなどで具現化。オフィススペースでは、組織変更にも柔軟に対応できるよう、PCとキャビネットのみの移動だけでレイアウト変更が実現できるようになっている(ここは残念ながら撮影不可)。カフェテリア方式の食堂には吉野家が入っていることが特徴!?とされており、東名高速の海老名SAで人気となっているメロンパンも購入することができる。

広々とした食堂。週に1度(金曜日)はここでお酒が飲めるとのこと

若い従業員のために出店要請したという吉野家

東名高速 海老名SAの人気メニューとされるメロンパンも購入できる

ここも広々とした1階ロビー

用意されている様々なキューブを置くと、関連する資料や映像が流れる。訪問客を飽きさせない仕掛けとのこと

500名を収容できる「大ホール」

「様々な環境に対応する環境配慮した場」については、計23ヵ所に及ぶ環境配慮設備によって実現。環境性能評価の格付け CASBEEで最高のSランク、環境・エネルギー優良建物で最高とされるレベル2を取得している。今回はそのうち、ビルの窓に設置された太陽光発電パネルと、「ダブルスキン」と呼ばれる2重構造のガラス窓を見せてもらった。

太陽光発電パネル1620枚がビルの窓に設置され、ビル内の共有スペースの照明用電力を供給。年間約5万7000kwを発電

「信頼性と安全性を追求した場」は、制震構造や防災センター、ゾーニングによってセキュリティを確保するといった施策で実現。地震については震度7(関東大震災レベル)まで耐えうる構造とされる。

3種類の制震設備で耐震性を向上させている。写真はそのうちの1つである「アンボンドブレース」

最後に……RTC最上階(23階)からの眺めや同センターの外観を紹介しよう。

最上階(23階)からの眺め。かすかに東京スカイツリーも見える

当日は山頂が雲に隠れてしまっていたが、丹沢大山も望める。眼下には相模川

最上階から見た海老名駅周辺

海老名駅から撮影したRTC。新棟の竣工は8月4日。各拠点からの引越作業が10月中旬に完了し、このほど報道陣に公開するに至った

RTC新棟では、キレイなお姉さんが出迎えてくれます(ご協力ありがとうございました!)