インテルの取締役副社長である宗像義恵氏

Intelは10月25日、2006年9月の初代製品発表から約1500日を経て、Intel vProテクノロジー搭載PCが全世界累世で約5500万台出荷したことを明らかにした。

毎年新たな機能を取り入れることで、ビジネスにおけるニーズへの対応を図っているvProについて、インテルの取締役副社長である宗像義恵氏は、「先日、22nmプロセスに対する投資も発表したが、そうした先端のプロセス技術に加え、さまざまな新たな技術に注力していく」と述べ、企業のIT部門が抱える課題の解決に向け、今後もvProを提供していくとした。

ビジネスクライアントPCに要求される機能をハードウェアとして提供するのに加え、ソフトウェアベンダなどと協力して、年々、さまざまな機能を提供してきた

また、単に半導体ベンダである同社のみならず、ソフトウェアベンダやサービスの提供者、SIerなどとも一緒になって推進してきたことを強調。「2006年より提供を行ってきたvProだが、2008年のリーマンショック以降、IT管理者の問題意識も変わってきており、効率の良い投資とそれに見合うだけのアウトプットが求められるようになったことに加え、2008年の洞爺湖サミットころを境に、"グリーンIT"というキーワードも意識されるようになった」とのことで、「(vPro)は世代ごとに、その年に要求される機能を入れることで進化してきた」(同)ことに加え、「そうした機能を活用するソリューションも沢山でてきた」と、ソフトウェア側との連携もうまく行っていることをアピールした。

企業のIT部門には毎年、さまざまな課題が突きつけられ、その解決を求められることとなる

インテル マーケティング本部の徳永貴士氏

そうした意味では国内でも採用が進んでおり、「運用管理の有用性が評価され、NTTデータでは社内の電源制御などに2008年より活用を開始、現在までに累積1万台以上を導入、稼働させている」(同マーケティング本部の徳永貴士氏)とするほか、「聖路加病院も2008年に500台より、主に夜間のパッチ適用およびデータ配信を目的に導入を開始、現在では診療開始前のPC自動起動なども行うようになり、累積2000台以上が稼働している」(同)とする。

また、Intelも全世界でおよそ9万台のクライアントPCが稼働しているが、2011年初頭にはそのうち95%がvPro対応へと更新させる予定としている。

運用管理に関するvProテクノロジーである「Active Management Technology(AMT)」が提供する3つの機能と、それを実際に活用している国内企業の状況例

さらに、国内企業とのサービス連携範囲の拡大も強調した。特にNTTデータウェーブが提供する「Wave PC Mate」は、vPro活用によるリモートメンテナンスサービスで、カスタマのTCO削減が可能となるとのことで、数千台規模での導入を果しているほか、大塚商会などはvProの機能を活用した3つのサービスを提供。12月にはIntelと連携したvPro活用イベントを開催する予定としている。

vProテクノロジーを活用したサービスを提供する企業も増えてきた

加えて、リモートKVM機能を活用したサービスも各社より順次提供することが予定されていることも明らかにされた。例えば、2010年11月からはクォリティソフトおよびSkyがそれぞれ「QAW/QND Plus」、「SKYSEA Client View」としてサポートを提供するほか、同12月より富士通四国システムズが「瞬快」、2011年1月よりハンモックが「AssetView」としてそれぞれサポートを提供する予定としている。

リモートKVMへのサポートを表明するSIerも複数出てきている

なお、宗像氏はvProはビジネスクライアントの分野において、スタンダードとなったと指摘、「今後も新たなチャレンジを進めていく」とするほか、徳永氏も「今後もvProという技術を中心としたさまざまな価値をソリューションとして提供していく。2011年にはSandy Bridge世代のvProも出てくる予定」としており、次世代のvProでは、さらなるTCOの削減を目指した管理機能やセキュリティ機能の強化を図っていくとした。

vProがこれまで継続して目指してきたことは"管理する"ということ。その先にはソリューションがあるが、最近はスマートフォンなどから企業のネットワークにアクセスするようになってきている事例もあり、「クラウドが浸透すれば、新たな課題がまた出てくる」(徳永氏)とのことで、そうした新たな課題への対応の意味でも、vProは今後も継続して進化していくことが強調された