CA Technologiesは10月15日、「クラウドコネクテッド エンタープライズ実現のために」というテーマの下、プライベートカンファレンス「CA Expo 2010」を開催した。基調講演では、「クラウドコンピューティングによってどのようなパラダイムシフトが起こるか」ということが語られた。ここでは、基調講演の模様をお届けしよう。

CA Technologies 代表取締役社長 バスター・ブラウン氏

初めに、代表取締役社長のバスター・ブラウン氏が登壇した。同氏は、「日本は他の国に比べて早いペースでクラウドコンピューティングの導入が進んでいる。クラウドは日本が技術立国になるための要素となりうる」と述べた。こうした背景を踏まえ、同社としても、クラウドコンピューティングを考慮した製品ポートフォリオを展開している。

最近のハイライトとして、「NEC、富士通の提携」、「アプリケーション性能管理ソリューションの最新版であるCA Application Performance Management」が挙げられた。また同氏は、「われわれの技術的な強みは仮想化技術とサービスデリバリの自動化にある」と語った。

カスタマーソリューショングループ エグゼクティブ・バイス・プレジデント&グループ・エグゼクティブのデイビット・ドブソン氏とテクノロジ&デベロップメントグループ エグゼクティブ・バイス・プレジデントのアージェイ・S・ゴーパル氏が、「クラウドで変わるITの未来 - How the Cloud Will Transform the Future of IT」というテーマで、基調講演を行った。

カスタマーソリューショングループ エグゼクティブ・バイス・プレジデント&グループ・エグゼクティブのデイビット・ドブソン氏

先に登壇したドブソン氏は、「クラウドはテクノロジーではない。ITを変革するために新旧のテクノロジーを利用する新たな方法だ。企業はクラウドを用いることで、"アジリティの強化"、"コスト削減"、"環境の持続可能性"を実現できる」と、クラウドの定義を明らかにした。

そして、「クラウドはCIOの役割を変える」と同氏は述べた。「クラウドはCIOをデータセンターの責任者から、ビジネス上の課題に対処可能なITの提供に注力する戦略的なリーダーへと進化させる」

さらに同氏は、「CIOはクラウドを導入する際に、ITサプライチェーンの最適化をする必要がある」と指摘した。ITサプライチェーンとは、ユーザーがクラウドベースの処理能力やデータ・ストレージなど、あらゆるリソースを必要に応じて引き出すことができるようなサイクルをいう。

同社がクラウドにおける強みとして、「物理的なプラットフォーム」、「サービス・アシュアランス」、「仮想化のマネジメント」、「自動化」、「プライベートクラウドのマネジメント」、「クラウド・コネクテッド・エンタープライズ」といった層からなるクラウドのフレームワークに対して、製品を提供していることが挙げられた。

「われわれは、幅広いラインアップと堅牢性を兼ね備えたITマネジメント/セキュリティ製品群と長年にわたる経験を有しており、企業をクラウドに対応可能にするための理想的な立場にいる」

同社は、「メインフレーム」、「アイデンティティ/アクセスマネジメント」、「ITマネジメントSaaS」、「仮想化マネジメント」、「クラウド」という5つの柱に投資しているという。

CA Technologiesの戦略

CA Technologies テクノロジ&デベロップメントグループ エグゼクティブ・バイス・プレジデントのアージェイ・S・ゴーパル氏

続いてゴーパル氏は、同社が買収した企業のプロダクトがクラウドコンピューティングの導入や利用にどのようなメリットをもたらすのかについて説明した。

同氏は「クラウドというパラダイムシフトに乗り遅れないために、企業はクラウドコネクテッド エンタープライズ(クラウド接続型エンタープライズ)を受け入れる必要がある。クラウドコネクテッド エンタープライズはITサプライチェーンの実現を意味する」と説明した。

ITサプライチェーンを作るには、自分たちが管理しているサービスのポートフォリオを把握して、投資するべき分野を決めたり、自社のビジネスにとっての最優先事項が何かを理解したりする必要があるという。

そして、同氏は買収したOblicore、NetQOS、Nimsoftなどの製品について説明を行った。Oblicoreの製品は、外部のサービスのSLAの検証を可能にし、CAの「CA Application Performance Management」や「CA Spectrum Infrastructure Manager」と連携する。NetQOSの製品はネットワークとアプリケーションのパフォーマンスを監視するため、「モニタリングできるアプリケーションが拡大する」と同氏は話した。

また、Nimsoftのクラウド監視ツールは「クラウドのメリットを享受するために必要なもの」として、サービスとして提供も可能だ。「われわれは"クラウドの管理"と"クラウドからの管理"の両方を提供できる」と同氏。

こうした買収した製品と既存の製品は、「Catalyst」というプラットフォームによって統合されていく。Catalystはユニファイドモデルを採用しており、共通のサービスを定義する。これにより、アジリティ、コスト、リスクを管理できるようにすることで、信頼性の高いクラウドプロジェクトを実現するために必要なすべてのものをCIOに提供するという。

同氏もドブソン氏と同様に、同社がクラウドを導入するために必要な製品をすでに提供しているとアピールした。

同社は今年に入ってクラウドを軸として積極的に買収を行ってきたが、徐々に新たな戦略に従った製品が出てきている。管理という側面からクラウドを推し進める同社の製品は、企業がクラウドを導入するうえで一助となるだろう。