三洋電機は9月29日、10月1日に開店する生活共同組合コープさっぽろ運営の「コープさっぽろ西宮の沢店」に、国内で初めてCO22段圧縮ロータリーコンプレッサを用いた冷凍ショーケース用ノンフロン冷凍機システムを設置するほか、開発中の冷蔵ショーケース用冷凍機システムおよびプレハブ冷凍冷蔵庫も合わせて設置することを発表した。

三洋電機執行役員でマーケティング本部本部長 CRM本部 副本部長の柴田康祐氏

フロンガスを取り巻く環境について、三洋電機執行役員でマーケティング本部本部長 CRM本部 副本部長の柴田康祐氏は、「フロンガス規制については欧州が先行しており、封入量3kg以上の機器において、冷媒リーク量を定期的に測定し、記録することが義務付けられているほか、2011年からは規制の強化が図られる予定」とするが、一方の日本では「主にHFCが用いられており、2009年からは"フロンの見える化"が推進されているが、回収・再利用については法整備を進めている途中」であり、環境省などが省エネ自然冷媒などの促進事業や代替フロン等3ガスの排出抑制などの支援事業を開始するなどの動きが出てきたとする。

フロンガスに対する各国の対応と日本の補助金制度

このような環境の中で、同社は2001年にCO22段圧縮ロータリーコンプレッサを開発、エコキュートなどに採用するなど、脱フロンガスに向けた取り組みを進めてきた。今回の店舗に納入される冷凍機システムには2009年に開発した10馬力クラスのロータリーコンプレッサを採用している。

同コンプレッサは2段圧縮方式を採用することで、一般的なR404A冷媒を用いる場合に比べ4~5倍の9MPaの動作圧力を実現しているほか、ロータリー方式を採用することで、低消費電力性や量産性を向上させることに成功している。また、熱搬送量が大きいため、配管を細くすることができ、結果的に配管の総量も減らすことができるようになるという。

CO22段圧縮ロータリー方式にすることで、小型化、低消費電力、低振動化などが図れるようになった

これにより、同システムはR404A冷媒冷凍機システムに比べ、消費電力は10%削減できるほか、CO2冷媒は地球温暖化係数(GWP)がR404Aを1とした場合、1/3920と小さく、冷媒封入量も約1/5で済むほか、冷媒漏れによる温暖化影響をゼロにすることが可能となるため、「結果として、R404Aシステム比でCO2を約38t、比率として最大61%削減することが可能となる」(同)とする。

一般的なR4040A冷媒によるシステムとのCO2排出比較

三洋電機では、2010年を「ノンフロン元年」と位置づけ20馬力の冷凍機や扉付きのショーケースなどの提供を開始、2011年には10馬力品や30馬力品といったバリエーション展開を進めるほか、バックヤード向けのプレハブ冷蔵庫、冷蔵ショーケースといったラインアップ拡充を進めていく方針で、「2012年には本格展開を行い、冷凍・冷蔵ユニットで2300台、売り上げにして220億円を目指す。機器価格はR404Aシステム比で若干高めになるが、配管が細くなるなどのメリットを加味したシステム全体としてのコストで見れば、20%を切る程度の上乗せコストで環境負荷低減ができるようになる見込みで、製品のライフサイクルで見た場合では規制強化への対応なども含めて割安感も出せると考えている」(同)としており、スーパーマーケットのほか、コンビニエンスストアなどにも積極的に導入を図っていくとしている。

スーパーやコンビニなどを中心に2012年にはノンフロン冷凍機システムを展開していく計画

また、パナソニックのグループ各社と連携して「店舗まるごとソリューション」を展開、太陽光発電システムによる創エネから、エネルギーの最適化マネジメント、安全性・衛生面への配慮、非常時災害などへの対応なども含めて、ソリューションとしての展開を図っていきたいとする。

三洋電機のみならず、パナソニックグループ全体で持つ技術や製品などを組み合わせることで、ソリューションとしての展開を狙っていく

中でも、太陽電池、リチウムイオン電池など自社で保有する製品技術と組み合わせたエネルギーの高効率活用や省エネおよびCO2排出量削減に貢献する機器や技術を組み合わせることで、単なる冷凍システムという形ではなく環境負荷低減を実現するソリューションとしてアピールしていければとしている。

なお、今回導入されるコープさっぽろ西宮の沢店は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の平成22年度事業の「代替フロン等ガスの排出抑制設備の開発・実用化支援事業」で採択された、生活協同組合コープさっぽろの「寒冷地における二酸化炭素冷媒用別置ショーケースにCO2排出削減量の実証評価」の一環となっており、北海道の木材を使用した国内初の「木造大規模スーパーマーケット」で、従来の鉄骨造りの店舗比でCO2排出量50%削減を目指す環境配慮の店舗となっている。