東京 表参道に開かれていたギャラリー station 5にて、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)・脇田玲准教授のセミナーが開催された。セミナーの後半では、クリエイターとして活躍するSFC脇田研究室のOBたちが登場した。
クリエイティブの現場で活躍中のSFC 脇田研究室OBたちが登場
セミナーの後半は、脇田氏の研究室の3人のOBが、卒業後に携わった仕事を紹介。ひとり目の北田荘平氏は、「tha ltd.」勤務のデザイナー。北田氏はユニクロの仕事でWebサイトを制作。TwitterのつぶやきとWebサイトをミックスさせた「UTweet」や、Webサイト内にユニクロのTVCMの素材を取り込んだコンテンツは有名。その他にも、2009年にはauの携帯電話ブランド「iida」のサイトも手がけた。Web以外の活動として披露したのは、ファッションブランドISSEY MIYAKEの店頭ディスプレイ用に作った「DROPCLOCK」。数字のブロックが水中に落ちてくる美しいグラフィックが印象的な作品だ。デザインとエンジニアリングの両方を学んでいてよかった点として北田氏は、「仕事でクライアントと打ち合わせをしたときに、デザインと制作の両方の観点で話ができることでスムーズに仕事が進んだ」と経験談を披露した。
ふたり目の卒業生は、「Leading Edge Design」に所属する檜垣万里子氏。会社に入って初めて取りかかったプロジェクトは、東京電力からの依頼で作った急速充電器。「洞爺湖サミットに合わせて目立つものを作ってほしい」との依頼に応え制作したそうだ。檜垣氏は脇田研究室で学んだことを活かし、デザインと使いやすさを考えて制作した。これまでに携わった仕事のなかで印象的だったと語ったのは、2009年5月に開催した「骨」という展覧会。最初に「骨」というテーマが与えられ、そこからアイデアを練ったという。参加してもらう作家の人選も行なったとのこと。
「takram design engineering」でデザインエンジニアの職に就く岩井貴史氏は、2008年に手がけたNTTドコモの仕事を紹介。制作したのは携帯電話のインタフェース「i-Widget」。それまでの「iアプリ」は同時にひとつのアプリケーションしか使えなかったが、それを一度に複数起動可能にした。携帯電話のインタフェースはPCと異なるため、「入力が十字キーと数字キーしかないところが困難だった」と苦労話を語った。「i-Widget」が誕生するまでに作ったプロトタイプの数は、なんと700種類以上。また岩井氏はインタフェースの設計の他に、ビジュアライゼーションもこだわりを持っている。「ビジュアルが違うだけでユーザーに与える印象は大きく変わる。僕らがデザインとエンジニアリングの両方を把握しているからこそ実現できた仕事だと思う」成功の秘訣を語った。
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