Twitterなどのソーシャルメディアが注目を集めるなか、企業はそれをどう活用すればよいのか。Apple Store, Ginzaで5日、小川浩、小川和也両氏のクリエイティブユニット「オガワカズヒロ」主催によるシリーズイベント『Web Business Shuffle2.0(WBS2.0)』が開催された。ニュースリリースのポータルサイトを運営するニューズ・ツー・ユー代表の神原弥奈子氏をゲストに招き、『ソーシャルメディア時代のニュースリリース活用法 ~factから会話が始まる~』をテーマとして、Twitterなどソーシャルメディアの置かれた環境や活用法についての講演が行われた。

FacebookやTwitterの重要性

小川和也氏はソーシャルメディアの位置づけと将来の展望について解説。ウェブの世界ではこれまで検索が重視され、Googleが主導権を握ってきたように思われてきたが、今後はソーシャルメディアが注目され、そのなかでも「Facebook」がGoogleの強力なライバルになる可能性があると指摘した。

グランドデザイン&カンパニー代表、小川和也氏

すでにFacebookの利用者は全世界で5億人を超え、ウェブ上ではFacebookを通じたトラフィックが増大。ウェブの世界で大きな影響力を持ち始めており、従来のSEOから、SMO(ソーシャル メディア オプティマイゼーション)、SMM(ソーシャル メディア マーケティング)が重要なキーワードになると述べた。

小川浩氏も、企業のマーケティング活動において、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアへの対応が重要になると話す。その一例として、「これまでのテレビ広告のような消費者へのリーチでは、1,000人の消費者のうちに3人程度しか顧客になってくれず、顧客化するまでの歩留まりが悪かった。しかも、歩留まりの悪い理由については推察せざるを得なかった。ところが、Twitterのようなソーシャルメディアによって、リアルタイムに消費者の動向を把握することも可能になり、顧客化できない理由も探れるようになった」とソーシャルメディアの効用を述べた。ソーシャルメディアを経由したトラフィック量の増加を踏まえ、たとえばTwitterでは短縮URLをツイート内に記してもらうといったように、ソーシャルメディアからの誘導がポイントになるとの見解も示した。

モディファイ代表、小川浩氏

ソーシャルメディアを利用したブランディングについても次のように指摘する。「ソーシャルメディア上の情報が価値を持つ時間は短く、秒単位で価値が失われていく。タイミングを考えて情報発信を行い、たとえばTwitterでは、つぶやきがリツイートされ、それがブログなどのメディアにどうすれば波及し、情報が再利用されるかを考えていくことが大切になる。それがうまくいくことでトレンドを生み出し、真のブランド創出が可能になる」(小川浩氏)。

神原弥奈子氏は、企業が発信する情報について、マスメディア(報道各社)を対象にしたプレスリリースから、ニュースリリースを発信していくという価値観に転換する必要があると述べた。

ニューズ・ツー・ユー代表、神原弥奈子氏

プレスリリースの場合、新商品や新サービス、業務提携など新しいニュース要素がなければメディアには取り上げられず、その後の継続的な取り組みや情報については触れられなくなってしまうと指摘。企業としての継続的な取り組みを伝えていくニュースリリースの提供に発想を切り替えることで、企業の活動をより多くの人に伝えていくことができると話す。

Twitterの活用についてはその目的が大事になるという。Twitterは、企業情報を消費者に伝え、対話していく手段として手軽なものだが、何でもつぶやけばいいわけではない。「ニュースリリースのようにファクトに当たる部分がないと、情報としての価値はない。担当者としても、何を伝えるべきかわからなくなってしまう。Twitterのようなソーシャルメディアを活用する上ではまず、何を伝えるかというファクトを明確にすることが大切ではないか」(神原氏)。