現実空間へのタグ付けを通してAR(拡張現実)技術の可能性を示してきた「セカイカメラ」。次なるステップは、AR体験に位置/ソーシャル要素を融合させた「セカイアプリ」の展開だ。頓智ドットの井口尊仁CEOは7月31日、その戦略について説明を行なった。

セカイアプリ戦略を発表した頓智ドットCEOの井口尊仁氏(右)と、セカイカメラ上で新たなオンラインRPGを展開することを発表したアンビション 経営戦略部 部長 奥村大輔氏(左)

iPhone用ARアプリのセカイカメラ最新版では現在、「Game」メニューで『ばくはつカブーン!』(プロトタイプ)を提供している。ユーザー間で、AR空間への爆弾(カブーン)の設置や解除を通じてポイントを競うゲームだ。セカイカメラはバージョン2.4.x以降、同アプリをプラットフォームとして活用するセカイアプリ機能を提供しており、「ばくはつカブーン!」はその利用第1弾となる。

井口氏は、セカイアプリのコンセプトを「ARの体験性を通じて人と人がつながるソーシャルな特性を持ったもの」と説明。具体的な構成要素としてソーシャル性(Social)、位置情報(Location)、ARを挙げ、それらを組み合わせた"ソーシャルロケーションAR"アプリを「SoLAR(ソーラー)」と呼称した。

Social + Location + AR = SoLAR。SoLARゲーム第1弾となるのが『ばくはつカブーン!』

本格的なSoLARゲームとして井口氏が期待を寄せるのが、アンビションが開発・提供する『セカイユウシャ』(英語名:Sekai Hero)だ。「セカイカメラの中で遊べるセカイ初の拡張現実オンラインRPG、つまりARPG」(奥村大輔 経営戦略部 部長)。日本全国を舞台にした「勇者となってモンスターと魔王を倒す」オンラインRPGだ。位置情報と連動することで地域特有のモンスターが出現したり、特定地域への救援イベントで実際にプレイヤーが現地へ向かったりといった仕掛けが盛り込まれている。2010年8月中には開発版を提供予定。順次Twitterクライアントやクエスト配信、アイテム売買が可能な「露店」などの機能を追加していくほか、セカイカメラのエアタグとの連動も考えていきたいとしている。また、セカイカメラ上でのビジネス化という面でも注目され、実際の宿とのタイアップやアイテム課金、広告などによる収益化を図る。

「セカイユウシャ」のコンセプト&プレイイメージ。説明会のデモでは、井口氏と思しき敵が出現し、思わぬ強さを見せたり……。ユーザー間コミュニケーションをサポートするTwitter機能のUIはどこかRPG風

セカイアプリではこのほか、変化のない現実世界を花で彩って楽しむ『フラワージェネレーション』、ハトのキャラクタと遊べるTwitterクライアント『クックー』などの提供も予定されている。

これまで「Tagging the World」を標榜してきたセカイカメラの新たなテーマは「BEYOND REALITY (セカイを超えて遊べ!)」。SoLARによる新体験を届けるためにも、サードパーティの参入促進が重要となってくる。頓智ドットは今後、OpenAir API(セカイカメラが公開するAPIセット)の拡充はもちろん、iPhoneに限らずAndroidなど各種プラットフォーム向けの展開も進めていく考えだ。