東北大学と東北電力は7月14日、共同で海藻から効率よくエタノールを生産する技術を開発したことを明らかにした。

海藻、特に褐藻は世界の沿岸海域に生息し、その生産量は熱帯雨林の生産量に匹敵するとされることや、食料として競合する可能性が低いバイオマスとして期待されている。しかし、海藻からのバイオエタノール生産は、構成成分が陸上植物と大きく異なることで困難とされ、ほとんど研究も実用化もされてこなかったのが実情であった。

また、火力発電所の冷却水として使用している海水系統には多量の海藻類が流入するため、廃棄物として処分している状況にあるが、今回の研究の成果を活用すれば、海洋で生産量の多い大型海藻である褐藻類を利用してバイオ燃料、バイオエタノールを生産することができ、その工程にはエネルギー消費が大きい乾燥工程と粉砕微粉化工程を含まず、複雑な成分に合わせて連続多段階発酵工程で効率よくバイオエタノールを生産することができるようになり、結果として発電所に流入する海藻類を有効に利用することが可能になるという。

陸上および海藻バイオマスからのエタノール生産工程。陸上バイオマスからエタノールを生産する場合、乾燥・チップ・粉末化などのエネルギー消費工程を経なければならず、効率が悪いといった問題があったが、今回の研究成果を活用することで、褐藻などの非食料バイオマスから、エネルギー消費工程を経ない、効率的なエタノールの生産が可能となる

なお、同技術は、褐藻に限らず緑藻や紅藻など海藻全般に応用可能であることから、日本のみならず世界各国のエネルギー問題に貢献する可能性を秘めているものと研究グループでは説明している。