パナソニックは7月8日、2010年6月より同社住之江工場で自社のリチウムイオン蓄電システムと三洋電機のHIT太陽電池を組み合わせたシステムの実証試験を開始したことを発表した。

実証試験が開始されたリチウム電池の生産拠点「パナソニック エナジー社 住之江工場」の外観(提供:パナソニック エナジー社)

実証試験の期間は12カ月間を予定しており、住之江工場内に設置した太陽電池パネルと現在開発中のリチウムイオン電池モジュール4個と充電器で構成される蓄電システムを組み合わせて試験を実施。発電能力2.8kWの太陽電池パネルと、蓄電能力6kWhの蓄電システムを組み合わせることで、同工場の事務棟で必要な電力の一部をまかないながらデータを収集するというもの。

実証試験の内容は、太陽光発電と蓄電システムの組み合わせによるリチウムイオン蓄電システムの充放電検証、および長期連続稼働によるリチウムイオン蓄電システムの信頼性評価の2点を主な目的としており、これらの評価のための試験を行い、太陽電池からの出力電圧、電流と、蓄電池の充放電特性のデータを計測する計画。

同社のリチウムイオン蓄電システムはコンパクト設計ながら、必用に応じてモジュールの搭載数の増減が可能で大容量化が容易といった特徴と有している。また、同モジュールは、ニッケル系正極を用いた高容量・高耐久性のリチウムイオン電池140個(サイズ:18650)で構成されており、同モジュールを要件に併せて組み合わせることで、家庭用蓄電やEV用動力源など環境エネルギー分野向けのさまざまな用途に対応することが可能となる。今回の実証試験ではモジュールの展開例の1つとして想定される家庭用蓄電システムとして実証試験が行われており、その結果をふまえて2011年度の事業化が計画されている。

なお、同社では、リチウムイオン電池を用いた蓄電システムおよびバックアップ電源で、2018年には現在の100倍を超える2,500億円の需要を予測しており家庭用蓄電池の需要拡大も予想。リチウムイオン蓄電システムを蓄エネルギーのキーデバイスとして活用することで、「CO2±0のくらし」の実現を目指していくとしている。