3段階のトナーセーブモード

電力以外の部分でも、コスト削減の取り組みが行われている。特にトナーセーブ印刷は、トナー使用量が少なくても見やすい印字という難しい要求を実現している。これは、画像とテキストを見分けて、テキストをクリアに印刷する技術を搭載しているからだ。
「コスト削減のために、印刷はすべてモノクロにしているという話をよく聞きます。しかし、モノクロとカラーには大きな表現力の差があります。もちろん、4色のトナーを使ったカラー印刷ですからモノクロ並とは言えませんが、かなりコストセーブはできています」と武井氏。

トナーセーブモードは「ややうすい」、「うすい」、「かなりうすい」の3段階が用意されている。「かなりうすい」はいわゆるドラフト印刷で、イメージは内容が判別できるだけという程度にまで薄く印刷されているのだが、文字はきちんと判読できる。実際に印刷したものを見た印象では、社内会議程度ならば「うすい」で十分であり、客先への提案書などでも「ややうすい」で問題ないと感じられた。元々の印刷が非常に色鮮やかなため、ビジネス文書の印刷には少しリッチすぎる感もある。「DocuPrint C3350」は、無理のないトナーセーブで、現場も受け入れ易いだろう。
「こうした節約モードは適切に使われなくては意味がありませんが、お客様の管理者様が使い方に合わせたトナー節約モードを選択したドライバを全社員に配布し、社員がその設定を変更ができないようにする方法もあります」と武井氏。全社員がトナーセーブモードを適切に使えば、かなりのコストダウンを実現できるはずだ。

トナーセーブモードでの印刷。左上が「標準」、右上が「ややうすい」、左下が「うすい」、右下が「かなりうすい」

新たな強調表示機能「カラーユニバーサルプリント機能」

「DocuPrint C3350」には、モノクロプリントする場合に重宝する「カラーユニバーサルプリント機能」がある。一般的に、ドキュメント内で強調したい部分は赤で表記されることが多い。しかし赤文字は、モノクロプリントした場合、むしろ目立たない。周囲の黒文字ははっきりと表示されているのに、赤文字部分だけが網点化され、逆に読みづらくなってしまうこともある。「カラーユニバーサルプリント機能」は、これを解決してくれる。

元々は色覚障害者用に作られた機能で、カラー印刷時でも利用できる。赤字の部分をプリンタが自動的に判別し、設定に従って下線を引いたり、網掛けをしたり、別の強調表現に置き換えてくれるのだ。最近はコスト削減のため、カラープリンタでありながら、モノクロ専用で利用している企業も多い。
「カラーを活用して欲しいのが本音ですが、モノクロ印刷でなければいけないという場合もあるでしょう。その時にも、きちんと見やすい印刷物であるための機能です」と杉村氏は語る。

左が通常のカラー印刷、中央がモノクロ印刷した場合、右がユニバーサルプリント機能を利用したモノクロ印刷(網かけ選択時)

使い勝手を考えたフロントアクセス設計

トップカバーに紺色を採用する「DocuPrint C3350」

そのほか、小型である上に排熱を上部からの自然排熱にしたことで、設置の自由度が高くなっているのも「DocuPrint C3350」の特徴だ。デスクサイドに置いても、近くに座る人に熱風が吹きかかる心配はない。また、用紙の追加や、ドラムカートリッジ・トナー・定着ユニット、トナー回収ボトルの交換、紙詰まりのリカバリーなどをすべてフロントアクセスにすることで、背面や左右にほとんどスペースを空けずに設置することも可能になっている。本体寸法が小さいことと設置面積が小さいことは必ずしもイコールではないが、「DocuPrint C3350」の場合は、モノクロ機からの置き換えにも十分対応できる省スペースを実現している。

トップカバーが紺色なのもプリンタとしては珍しいが、出力された紙とのコントラストを強くすることで、紙が存在することをわかりやすくする効果を狙った配色だという。既存の帳票用紙などへのプリントに便利な印字位置調整機能の搭載やIPv6やギガビットイーサへの対応、USB接続したスキャナと連動してのカラーコピー的な使い方など、企業が求める性能が低価格で小さなボディにしっかり詰め込まれている。