日本経済団体連合会(経団連)は6月15日、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の成功にむけた提言「生物多様性の保全と持続可能な利用をめざして」を発表した。

経団連は2009年3月に「生物多様性宣言」を公表し、経済界における取り組みについて基本的な考え方を提示している。今回の提言は、この考え方をベースに、今年10月に名古屋で開催予定のCOP10に向け、議長国としての政府の役割について期待を示したものとされている。

今回の提言では、政府がCOP10にて「合意すべきもの」として以下のような内容が示されている(抜粋)。

  • (1) 2010年以降の生物多様性目標については、各地域において、多様で個性的な自然や生態系の実態に合わせた柔軟な対応がとれるものとする。
  • (2) 生物多様性や生態系に関する科学的知見・データの整備・充実をはかる。
  • (3) NGO等によるプロジェクトを支援するしくみや、技術面を含む相談、助言機能の強化など、生物多様性の具体的な保全活動を推進するしくみを整備する。またODAによる支援の拡充をはかる。
  • (4) 企業の取り組み促進については、「基本理念」を共有(例: 日本経団連生物多様性宣言)したうえで、各企業の実態・特性に応じた、多様で創造性あふれた取り組みが自発的に行われるような条件を整備する。
  • (5) 生物多様性の経済的評価や生物多様性オフセットについては、科学的知見・データの蓄積、客観的な定量化手法の開発、評価手法の精度向上など、有効性検討の前提条件をまず整備する。

なお、経団連は5月25日に日本商工会議所と経済同友会、ならびに関係各省の協力のもと「生物多様性民間参画イニシアティブ」を発足させている。また、このような動きを受けて環境省も6月15日に、生物多様性の保全に関して法制化の準備を進めることを発表している。