日本経済団体連合会(経団連)と日本商工会議所、経済同友会は6月4日、民主党 首班指名選挙で菅直人氏が総理大臣に選出された結果を受けて公式コメントを発表した。以下にその全文を掲載する。

日本経済団体連合会 米倉弘昌氏(住友化学会長)のコメント
「課題山積の中で、速やかに新総理を選出されたことは良かったと思う。今後は、菅総理のリーダーシップの下、政府・与党が一致団結し、内外からの信頼を確固たるものとしていただきたい。菅総理は、かねてよりデフレ脱却や税・財政の抜本改革などに熱意を示しておられる。大胆に取り組み、実現していただきたい。経団連としても最大限協力する」

日本商工会議所 会頭 岡村正氏(東芝相談役)のコメント
「菅総理の誕生を歓迎する。困難な時局の打開に向けて、手腕を発揮されることをご期待申し上げたい。同時に、菅政権が、これまで以上に重い責務を担っていることを深く受け止めてもらいたい。まずは国民の理解と信頼を得られるよう政権運営に努め、内外に山積する重要政策課題に対処していただきたい。特に、国内の経済情勢については、景気は着実に改善する方向を示しつつあるものの、地域経済や中小企業は回復を実感するには至っていない。依然としてデフレも続いており、機動的な経済運営に注力してもらいたい。また、国民の不安を払拭すべく、日本の将来像とその道筋を明示し、実現に邁進してほしい。成長戦略と財政運営戦略の具体化を早期に進め、「選択と集中」により果断に実行することを強く望みたい。政治主導は大事だが、国民各界各層の意見にも十分に耳を傾けていただきたい。政府・与党が結束しなければ、この難局を乗り越えることはできない。菅総理のリーダーシップの下、名実ともに一致団結した政権運営を強く期待したい」

経済同友会 代表幹事 桜井正光氏(リコー会長)のコメント
菅直人新総理に望む
1.総理に菅直人衆議院議員が指名された。新総理には速やかに政権運営体制を建て直し、国民からの信頼と期待を取り戻すべく、強力なリーダーシップを発揮されることを期待する。

2.今回の民主党代表選挙では、告示直後の両院議員総会で新代表が選出されており、各候補者が政権運営の総括を国民の前で十分行ったとはいえない。政治空白の長期化を避けるために止むを得ないことではあったが、残念である。

3.新総理には、先ず所信表明演説において、国民の政治不信や国際社会からの不信感を払拭していただきたい。特に、前政権で副総理として支えてきた立場として、前政権から何を継承し、何を修正・変更するのか国民に説明していただきたい。また、中長期の重要基本政策である「中期財政フレーム」、「新成長戦略」、「地域主権戦略大綱」などは、当初の予定通り6月中には国民に明示されることを求めたい。

4.目前に迫った参議院選挙に向けて、昨年の衆議院選挙で掲げたマニフェストについて、わが国の中長期のビジョンを明確にした上で必要な修正を行い、政権与党として責任と説得力のあるマニフェストを策定し、政権担当能力を国民に示されることを期待したい。