米Dellが日本メーカーなど5社を相手に液晶パネルの価格操作で被害を被ったとする訴訟を起こしていたことがわかった。米Wall Street Journalなど各メディアが3月15日(現地時間)に報じている。対象となったのは、シャープ、日立、東芝、セイコーエプソン、そして台湾HannStar Displayの5社。サンフランシスコにある米連邦裁判所に3月12日付けで訴状を申請している。

Dellによれば、こうしたTFT-LCDの価格操作が行われていたのは1996年1月からで、価格カルテルによる販売価格引き上げで数十億ドル規模の損害を与えられたと主張している。解決には数年を要するとみられるが、裁判で損害賠償請求を勝ち取る、あるいは和解金の引き出しが狙いと考えられる。

今回の唐突ともいえるDellの訴訟は、2006年に米司法省(DOJ)の価格カルテル調査開始を受けて、シャープやLGなどが2008年に計6億ドル規模の罰金支払いに応じたことに起因するとみられる。WSJによれば、日立も3,100万ドルの罰金支払いに応じているという。

なお問題となる期間だが、DOJの認定では2001年から2006年までとなっているが、今回のDellの訴訟では1996年以降ということで、DOJの認定期間よりも長い10年以上を想定しているとみられる。昨年2009年12月にはフィンランドのNokiaが、まったく同様の要綱で日本メーカーを中心に全11社を相手に1996年1月以降の価格操作を理由に訴訟を起こしており、これもまたDOJの裁定を受けての訴訟だと考えられている。Dellのケースは、こうしたDOJやNokiaの訴訟に便乗したものとみられる。