マイクロソフトは2月10日、下半期(2010年1月~同6月)における公共事業や自治体との取り組みに関する方針を説明した。「地域活性化協働プログラム」を新たに3自治体と提携するほか、好調のヘルスケアおよびアカデミック分野の事業にも注力する。

大井川和彦 マイクロソフト 執行役 常務 パブリックセクター担当

同社の公共事業を担当する大井川和彦氏(執行役 常務 パブリックセクター担当)は、下半期の注力分野として、自治体、ヘルスケア、アカデミックの3分野を挙げた。

同社の自治体との取り組みは、企業市民活動(CSR)の一環である地域活性化協働プログラムによって実行される。ICTの側面から自治体が抱える課題をサポートする包括的な支援プログラムで、2009年度の対象地域は高知県、佐賀県、鳥取県、徳島県。世界的な経済不況もあり、「経済環境の厳しい地域」(大井川氏)という点を考慮して提供先を選定した。2010年度は、民間との連携による変革を模索する動きも勘案し、3自治体との提携が決定しているという。地方自治体の財政は厳しい状況が続くが、今後の自治体への取り組み方針について大井川氏は、「コストカットだけでなく、(コスト削減方法の)メリハリを考えながら、地域の住民の視点に立った行政サービスを提供するために、ITツールをどう使うかを提言したい」と説明した。

同プログラムは、各地域が自立して持続的に活動が可能になることを目標とする性格から、支援期間は1年間に限定される。その間、ITベンチャーの支援などを通じた地域産業振興、NPOによる住民向けのICT講座やその講師育成支援など具体的なサポート策が展開されることになる。

なお、地域活性化協働プログラムの各プログラムは個別提供も実施されており、2010年度の「ITベンチャー支援プログラム」は、静岡県/ 福岡市/ 宮崎県/ 山形県のITベンチャーが選定企業に選ばれている。

ヘルスケア、アカデミック分野は好調

ヘルスケア分野については「15%以上の成長率で伸びている」(大井川氏)と事業の好調ぶりをアピール。病院内のチーム医療における情報共有を促進するニーズに対し、SharePoint ServerやExchange Serverなどを活用したソリューションが高い支持を得ているという。また、地域における病院と診療所などとの連携をICTを利用して実現するソリューションについても、積極的に提案しているとした。

アカデミック分野は「(ヘルスケアと)同じくらい伸びている」(大井川氏)。学校内のITインフラ整備が進むにつれて、同社がICT面で貢献できることが増える。東京都港区立青山小学校との取り組みはその例とし、タブレットPCやネットワークなどICTを活用した授業を実践している点をアピールした。同分野では人材育成も重視しており、昨年12月には全国高等専門学校機構と高度IT人材の育成に関してプログラムを締結している。