既報のとおり、富士通は1月22日、山本正己 執行役員常務(22日付で執行役員副社長)が4月1日付で新社長に就任することを発表した。本稿では、富士通が行った社長就任会見の模様を簡単に紹介しよう。

新体制では、社長と5人の副社長が一体で事業推進

4月1日付で社長に就任することが決まった山本正己 執行役員副社長

会見ではまず、代表取締役会長兼社長の間塚道義氏が、山本氏の抜擢や副社長5名体制を敷くに至った経緯について説明した。

それによると、富士通では昨年10月28日に、富士通取締役 兼 アドバンテスト相談役の大浦溥氏、富士通社外取締役 兼 一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏、そして間塚氏の3名からなる「指名・報酬委員会」を設置し、富士通を取り巻く外部環境や、新社長に求められる資質、執行体制の在り方などについて議論を進めてきたという。

その結果、厳しい競争を勝ち抜ける変革マインドを持った新社長の下に、「サービス」、「ソリューション」、「プロダクト」、「グローバル」、「コーポレート管理」の5つの専門分野を持った5人の副社長を置くという方針を決定。委員長の大浦氏が、副社長、上席常務、常務、執行役員の全員と面接を行い、以下のような体制を決めたという。

4月1日付役職 氏名 主な担当分野 現在の役職
代表取締役会長 間塚道義 - 代表取締役会長兼社長
執行役員社長 山本正己 - 執行役員常務(22日付で執行役員副社長)
執行役員副社長 リチャード・クリストウ グローバルビジネス(海外展開) 執行役員副社長
執行役員副社長 石田一雄 サービスビジネス 執行役員上席常務
執行役員副社長 藤田正美 コーポレート管理 執行役員常務
執行役員副社長 佐相秀幸 システム/プロダクト 執行役員常務
執行役員副社長 生貝健二 ソリューションビジネス 執行役員

上記の副社長の担当分野は、「あくまで"主な"役割であり、新体制では、会社全体のことを全員で考えていくかたちになる」(間塚氏)という。副社長を手厚くした理由について、「年々速くなっている時代の変化に対応していける俊敏性が重要で、それを確保するには社長一人に負荷が集中する体制ではいけない。各部門を経験した有能な人材が協力して、素早く決断/実行していくことが大切」(間塚氏)と説明した。

山本常務、抜擢の理由

4月1以降は会長職に専念する、現 代表取締役会長兼社長の間塚道義氏

山本氏を社長に選んだ理由について、間塚氏は、「富士通では、クラウドコンピューティングの延長線上に、人の行動や知の創造を支援するヒューマンセントリックなネットワーク/システムが求められるようになると考えており、それに向けて10年レンジでチャレンジしていく必要がある」との見解を示し、そのうえで、「山本氏は、ワープロソフトの『OASYS』、PC、IAサーバなど、それぞれの時代の最先端の事業を推進してきた実績があり、変化を受け入れ、自分で考えていける柔軟性を持っている。さらに、決めたことは徹底的にやり遂げるという行動力や、新しい時代を開拓していける胆力も兼ね備えている。時代を牽引するのにふさわしい人材だ」と説明した。

また、間塚氏は「10年先を見ているため、56歳という若さも大きな要因になった」とコメント。「新体制は、私とリチャード以外、全員50代で、過去の執行体制と比べて非常に若い陣容になっている」と補足した。

社長就任打診の瞬間

山本氏への社長就任の打診は、18日(月)に大浦氏同席の下、間塚氏から直接行ったという。

そのときの様子について、間塚氏は「最初は驚いたように見えたが、その後は冷静に振る舞っていた。『全力でまっとうする』と応えたときには、覚悟の感があった」と説明。山本氏は、そのときを振り返り、「正直なところ、富士通の社長は非常に重い役職なので、私で本当に大丈夫か、という気持ちはあった。しかし、いずれにしろ、誰かがやらなければならいもの。指名されたからには、逃げずにまっとうしようと決意し、承諾した」と述べた。

山本氏は今後の抱負について、「明るく元気な会社にしたい」とコメント。さらに注力分野の1つとして携帯電話やパソコンを挙げ、「人に優しく、人のためにITが使われるヒューマンセントリックコンピューティング時代では、そのインタフェースとなるPCや携帯電話が非常に重要。富士通の得意分野でもあるので、ここには注力していきたい」と、ハードウェア分野出身の強みを生かしていく考えを説明した。加えて、以前から掲げている「グローバルでIAサーバ50万台販売」という目標にも言及し、クラウドコンピューティング時代を下支えするプラットフォーム製品として、引き続きIAサーバを主力製品の1つに位置付けるという見解を示した。

なお、代表権などについては、6月の株主総会での承認後に与えられる予定だという。