NECは1月21日、クラウドコンピューティングの基盤となるサーバ、ストレージ、ネットワーク機器、統合管理ソフトウェア、基本構築サービスをパッケージ化したスイート製品「Cloud Platform Suite」を発表、同日発売開始した。NEC サーバワークステーション事業本部長 庄司信一氏は「IT投資が控えられがちな昨今、クラウド導入を検討している企業が新しい一歩を踏み出すきっかけとなるパッケージとして位置づけられれば」と語る。
同製品は、顧客のニーズに応じて以下の3つのパッケージが用意されている。
- スタンダードパッケージ … 中堅企業向け、低コストと導入容易性、871万円から
- エンタープライズパッケージ … 大企業の企業内データセンター向け、信頼性と拡張性、3,880万円から
- データセンターパッケージ … 通信事業者向け、直流受電などを考慮、2億5,000万円から
いずれのパッケージもNECの「Express5800 シリーズ」(サーバ)、「iStorage シリーズ」(ストレージ)、「UNIVERGE シリーズ」(ルータ/スイッチ)、「WebSAM SigmaSystemCenter」(統合プラットフォーム管理ソフトウェア)をベースに構成されており、あらかじめ必要なソフトウェアがインストールされているため、クラウドのメリットである短期導入を実現しやすくなっている。なお、エンタープライズパッケージとデータセンターパッケージには仮想化環境のハイパーバイザVMware vCenter Server 4/VMware vSphere 4が含まれる。
最大の特徴は、仮想化セットアップを含むシステムが組み合わせ検証/構築された状態で納品されるため、顧客企業は短期間でクラウド環境を立ち上げることができる点だ。「これまで個別製品で5日間かけて構築していた環境が最短1時間で可能になる」(庄司氏)という。また、データセンターやマシンルームでの使用を考慮し、軽量/省スペース/省電力を意識したパーツを多く採用している。また、運用面の簡易化にも力が置かれており、統合プラットフォーム管理ソフトウェア「WebSAM SigmaSystemCenter」では、GUIで仮想環境の構築などを簡単に行うことができる。
クラウドコンピューティングのメリットは、低コストと短期導入の2点で語られることが多い。このNECの新製品は、どちらかといえば短期導入のニーズに応えるものといえる。今後、Cloud Platform Suiteのロードマップとして、ネットワークのシンプル化(仮想化)によるコスト削減、仮想化による機器集約、消費電力の40%削減(以上、2011年まで)、さらにはミッションクリティカルな業務システムとの融合(2012年まで)をめざしていくという。
出荷開始は、スタンダードパッケージが2月下旬から、エンタープライズパッケージが4月から、データセンターパッケージが2月下旬から。海外向けにはデータセンターパッケージから出荷する予定。