米IBMは、今後5年-10年の間に世界の人々の働き方、遊び方、生活を一変させる可能性を持ったイノベーション「IBM Next 5 in 5(今後5年間で生活を一変させる5つのイノベーション)」を発表した。

IBMは、都市は、増加し続ける人口と劣化していくインフラに同時に対応しなければならないとし、IBMが世界中の都市と協力して、都市が成長を維持できるよう、よりスマートになるための取り組みを実行すれば、今後5年間に都市は次のように変貌するとしている。

なお、IBMのサイトでは「IBM Next 5 in 5」を紹介するYouTubeのビデオを見ることができる。

より健康的な免疫機構を持つ都市
科学者たちは市当局、病院、学校、職場での新型ウイルスや季節性インフルエンザなどの感染を検知、追跡して、拡大に備えたり予防したりするためのツールを配布する。電子カルテに納められた匿名の医療情報が安全に共有され、疾病の蔓延を食い止め、人々の健康を維持する「健康インターネット」が登場する。

生命体のように感知し、反応する建物
現在、暖房、水道、下水、電気など、ビルを構成するシステムの多くはそれぞれ独立して管理されているが、将来は、施設を管理するテクノロジーは生命体のように機能して、素早く感知、反応することで市民を守り、資源の節約と二酸化炭素排出量の削減が実現するようになる。ビル内部の何千ものセンサーが、動きや温度、湿度、居住率、光にいたるまで、すべてのものを監視するようになり、システムにより、何かが壊れる前に修理できるようになり、緊急ユニットが必要な資材を使って素早く対応する。また、消費者や事業主はこのシステムにより自身のエネルギー消費量と二酸化炭素排出量をリアルタイムでモニターし、減らすための措置を取る。

燃料がいらない自動車やバス
自動車や市内バスは徐々に化石燃料への依存を排除し、車両は数日間、あるいは数カ月間も充電が不要な新しい電池技術で稼動するようになる。また都市のスマート・グリッドにより自動車は公共の場所で充電できるようになり、使う電力も風力などの再生可能エネルギーに変わり、石炭による発電への依存がなくなる。

都市の渇きを癒やし省エネを実現する、よりスマートなシステム
都市はスマートな給水システムを導入して、水の無駄遣いを最大50%減らすようになる。また、水を浄化して飲用可能にするスマートな下水システムを取り入れ、双方向のメーターとセンサーが水道およびエネルギーのシステムに統合され、使った水の量がリアルタイムで正確に把握できる。

緊急通報が入る前に危機に対応できる都市
都市は犯罪や災害などの緊急事態を削減し、時には防止することもできるようになる。IBMはすでに司法当局と協力して、適切な情報を適切なタイミングで分析し、担当公務員が事態を先取りした対策を講じて犯罪を阻止できるようにしている。また、都市を壊滅的な洪水から守るスマートな堤防システムについても設計を進めている。