マイクロソフトは11月5日、東京のホテルにおいて企業や官公庁のCIOを対象にしたイベント「Microsoft Executive Forum」を開催。来日中の米マイクロソフトCEO スティーブ バルマー氏とマイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏が挨拶を行った。

マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏

樋口氏は「1-3月で底を打ったかと思われた景気だが、まだまだ回復の足取りはよたよたしており、2番底もありえるのではないかという状況だ。ただ、企業からはコストを切り詰め決算を改善するということから、長期的にローコストな体質にしていく、長期的な生産性の向上を図っていくなどの前向きな声を頂く機会も増えており、この際、レガシー的な非効率なものを最適化するという点も真剣味を帯びてきた」

「我々はPCで成長してきた会社だが、エンタープライズビジネスにおける姿勢、マインド、品質に対する考え方なども備わり、パートナーとの連携も強化されている。日本は欧米に比べ、ユーザー部門の意見が強く、ITガバナンスが弱い面もあり、パッケージ文化も生まれてこなかったが、今後はシステムがユーザーに合わせるのではなく、ユーザーが現在のシステムに合わせ有効利用するようなワークスタイルの変革も必要だ」と述べた。

また樋口氏は、Windows 7の発売開始からの10日間の売上げが、XPを越え過去最高になったことも明らかにした。

米マイクロソフトCEO スティーブ バルマー氏

一方バルマー氏は、「我々は、今後より多くのことをより少ない資源でやらなければならない。我々は将来のビジョンとして『3 Screens+1 Cloud』を掲げているが、これは、ITというのはパソコンだけではなく、スマートフォンやTVにも展開していくということだ。そのためにはITがスマート化を進めていかなくてはならならず、UIもマウスやキーボードだけでなく、カメラや音声認識というものも必要だ。そして、もっとも重要な点は人々がいかにシンプルにITにアクセスできるかということで、我々は研究開発費に毎年95億ドルもの費用をかけ、イノベーションを実現しようと努力している」

マイクロソフトのビジョン『3 Screens+1 Cloud』

「米国メディアでは、現在は『New Normal』という景気が回復したわけではなく、新しい正常状態だと言っているが、これに対応するためには企業は生産性を上げ、コストを下げていかなくてはならない。Windows 7はこのような状況に合わせて作ったものだ。日本では228社が早期採用を表明しているが、これらの企業は最大で各PCあたり年間約1万7000円のコストの節約につながっている」と語った。

バルマー氏はWindows 7でPC1台あたり年間1万7000円のコストを削減できると指摘

アステラス製薬 代表取締役社長 野木森雅郁氏

イベントでは、早期導入企業としてアステラス製薬が紹介された。アステラス製薬では、来年度2万台のPCをWindows 7 Enterpriseに変更するという。そして、その理由として同社 代表取締役社長 野木森雅郁氏は、グローバルでの有効活用や人の流動化に対応というWindows 7のマルチ言語対応や、セキュリティのほか、運用コスト削減を挙げた。

アステラス製薬がWindows 7を採用した理由