シャープは10月29日、2010年3月期第2四半期の決算概要ならびに上期(2009年4月~9月)決算の概要を発表した。これによると、上期の売上高は前年同期比17.5%減となる1兆2,886億8,400万円、営業利益は同96.9%減となる15億6,600万円、経常損益は前年同期の375億4,800万円の黒字から119億7,500万円の損失へと転落となり、純損益も同様に前年同期の280億1,100万円の黒字から177億2,100万円の損失へと転落した。なお、純損益の中には、特別損失として事業構造改革費用146億円などが含まれている。

主な分野別では、AV・通信機器部門がBlu-Ray Disc(BD)レコーダの売り上げが伸長したものの、液晶テレビなどが減少となり、部門全体の売り上げとしては、前年同期比11.5%減となる6,299億円となった。

また、液晶部門は、需要環境の好転が見られたものの、テレビ用大型パネルの価格下落や中小型LCDの市場低迷が響き、売上高は前年同期比33.6%減の2,280億円となったほか、太陽電池部門は、国内での住宅用太陽光発電システムの設置に対する補助金制度の導入により、販売増となったものの、海外向けが減少となり、売上高は同7.3%減の862億円となった。その他の電子デバイス部門についてもCCD・CMOSイメージセンサなどの販売減が影響した結果、売上高は同27.2%減の964億円となった。

このほか、同上期の主要なエレクトロニクス機器の販売状況は、10型以上の液晶テレビの売上高は前年同期比19.1%減の3,061億円、販売台数も同8.1%減となる439万台となったほか、携帯電話が売上高が同2.3%減の2,263億円、販売台数が同5.5%減の512万台となったほか、BD・DVD関連の売上高が同5.7%増の335億円、LCDパネルが同37.3%減の3,985億円、CCD・CMOSイメージセンサが同4.3%減の474億円、太陽電池が同7.4%減の862億円、販売量は同45.8%増の327MWとなった。

部門別の2009年度第1四半期と第2四半期の売上高と営業損益

第2四半期で大きく業績が回復

シャープ 代表取締役副社長 濱野稔重氏

同社は、2008年秋からの世界不況に対する策として、特長商品の創出と販売強化を図ってきたほか、緊急業績改善対策の推進として、人員体制の見直しや液晶工場の再編、総経費の年間2,000億円削減を目指した取り組みなどを進めてきた。これらの効果が同第2四半期では反映され、「営業利益、経常利益、四半期純利益のすべてにおいて2010年3月期第1四半期の赤字から黒字に転換を果たしたほか、全部門で営業利益の黒字化を達成した」(シャープ 代表取締役副社長 濱野稔重氏)とする。

具体的には売上高は前四半期比15.4%増の6,903億円、営業損益は前四半期比536億円増となる276億円の黒字、経常損益も同484億円増となる182億円の黒字、純利益も同326億円増となる74億円の黒字となった。

四半期別の売上高、営業損益、経常損益、純損益の推移

同社ではこのまま下期も黒字を維持していくことで、通期業績2兆7,500億円、営業利益500億円、経常利益200億円、純利益30億円を実現したいとしている。

2010年3月期の連結業績の見通し

また、総経費削減に向けた取り組みについては、「第2四半期累計削減実績は1,191億円、進捗率60%といったところで、その内人件費が226億円、進捗率50%、減価償却費が265億円、進捗率76%となっており、目標である2,000億円に向かって計画通りの推移を示している」(濱野氏)とする。

主要商品の通期に向けた取り組みについては、液晶テレビは60型以上の大型製品やBD搭載型などの独自商品の販売を強化するほか、海外ではその地域に見合った製品を製造、販売していくとする。また、携帯電話に関しては、2台目需要を掘り起こす製品を出していくとする。

このほか、主要デバイスの通期に向けた取り組みとしては、LCDパネルに関しては、中国を中心に需要が年末までは堅調に推移することを見込んでおり、外販ユーザに対しても2010年にかけて旺盛な需要を見込んでいるとするほか、太陽電池に関しては、市場の中心である欧州が以前として厳しい状態としながらも日本や米国での伸長を期待するとしており、薄膜太陽電池についても「シャープグリーンフロント堺」を2010年3月までに操業する計画とし、自社製造のCVDなどを用いたコスト競争力の高い製品を提供することで、売り上げの拡大を狙っていくとしている。

主要商品・デバイスの状況