サイボウズはマイクロソフトと業務提携し、「Microsoft Office SharePoint Server」を開発プラットフォームとするエンタープライズ向けのグループウェアを2010年上半期中に提供することを目指し、新たに開発すると発表した。

業務提携の内容

サイボウズでは今回の提携により、同社の強みである中堅・中小企業向けの市場に加え、大企業向けの市場を新たに開拓したいという狙いがある。

同社では、中小企業向けにはサイボウズOffice、大企業向けにはガルーンというグループウェアを販売しているが、大企業向けは思うような業績にはなっていないようだ。

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏は「(サイボウズは)中小企業向けのグループウェアでスタートした会社で、大企業向けにシフトしてきているが、なかなか広げきれていない」と語る。

また、同社は海外展開を積極的に行っているが、過去には米国で現地法人を設立したもののうまくいかず、撤退した経緯もある。

そこで、サイボウズは大企業に強く、グローバルで展開するマイクロソフトと業務提携することにより、新たな市場を開拓したいという狙いがある。

青野氏は「今回の提携は10年に1回あるかないかの大きなチャンス」と述べた。

マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏

一方マイクロソフトには、SharePoint Serverのシェアを拡大できるというメリットがある。

マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏は「今回の提携は両社にとってWin-Winの関係だ」と語った。

新しいグループウェアの内容は、まだ具体的には決めていないという。今後、サイボウズ Officeやガルーンをベースに、顧客に製品ニーズをヒアリングしながら搭載機能を詰めていくという。また、既存製品は縮小せず、これまで通り販売していくという。

新製品のアーキテクチャ

サイボウズでは新製品の開発にあたり、社内に20名程度のプロジェクトチームを設置して、企画・開発を行っていく。また、今後マイクロソフト大手町テクノロジーセンターにおいて、ユーザーにマイクロソフトと共同で提案を行っていくという。

マイクロソフトの製品と競合するのではという懸念に対して青野氏は「それほど競合はしないだろう。これまで、マイクロソフトさんの製品と連携できなかったために落としてきた案件もあるが、今後は、同じ土表に乗ることができる。競合することはあるかもしれないが、それ以上に大きな市場を獲得することができる」と述べた。

また、新しい製品とガルーンとの統合について青野氏は「そういうことがあるかもしれないが、今のところ考えていない」と含みを残した。

サイボウズでは、新しいグループウェアを国内の大企業を中心に3年間で100社に導入することを目指していく。

記者会見での樋口社長(左)と青野社長(右)