マイクロソフトは、HPとデルのサーバを利用した、同社初のデータウェアハウス(DWH)アプライアンス「SQL Server Fast Track Data Warehouse(ファスト トラック データ ウェア ハウス)」を発表した。
マイクロソフト 執行役員 サーバープラットフォーム ビジネス 本部長の五十嵐光喜氏は「DWH利用はこれまで、一握りのユーザーが利用するに過ぎなかったため、SQL Serverではこれまでやってこなかったが、ハードウェアの価格が下がり、DWHの市場が大きくなってきている。DHWでは、ハードウェアのCPU、メモリ、DISKのスループットを最適化することで、ユーザーに最高のパフォーマンスを提供できる」と、新製品投入の理由を述べた。
同社が発表したアプライアンスは、データ容量32TBまでに絞った製品。同社では、SQL Server 2008にはデータの圧縮機能があるので、倍の容量まで対応できるとしている。
テクノ・システム・リサーチが今年の5月に行った国内のDWH市場の調査によれば、32TB未満が市場の73%を占めるという。マイクロソフトが提供するのは、HPとデルのサーバを利用した4TBから32TBまでの5ラインナップ。これらのサーバは、とくにカスタマイズは行っておらず、一般に販売されているスタンダードなものを利用している。現在は、2社のサーバを利用したものだが、今後は国内メーカのサーバを組み合わせたアプライアンスも発表する予定だという。
アプライアンスでは、サーバ、ストレージとSQL Server 2008 Enterprise エディションがセットで提供される。価格と構成は以下の通りだ。
データ量 | 構成 | 価格(税抜参考価格) |
---|---|---|
4TB-8TB | ソフトウェア:SQL Server 2008 Enterprise エディション サーバ:HP ProLiant DL385 G5p(2 Quad Core AMD Opteron) ストレージ:HP StorageWorks MSA 2300 |
1,130万8,300円 |
4TB-16TB | ソフトウェア:SQL Server 2008 Enterprise エディション サーバ:HP ProLiant DL585 G5(4 Quad Core AMD Opteron) ストレージ:HP StorageWorks MSA 2300 |
1,890万8,300円 |
16TB-32TB | ソフトウェア:SQL Server 2008 Enterprise エディション サーバ:HP ProLiant DL785 G5(8 Quad Core AMD Opteron) ストレージ:HP StorageWorks MSA 2300 |
3,501万1,300円 |
4TB-8TB | ソフトウェア:SQL Server 2008 Enterprise エディション サーバ:Dell PowerEdge 2950 III(2 Quad Core Intel Xeon) ストレージ:DELL/EMC CX4-240 |
2,158万8,075円 |
12TB-24TB | ソフトウェア:SQL Server 2008 Enterprise エディション サーバ:Dell PowerEdge R900(4 Hexa Core Intel Xeon) ストレージ:DELL/EMC CX4-240 |
4,226万6,908円 |
SQL Server Fast Track Data Warehouseでは、リファレンスアーキテクチャを使って、ハードウェアの最適化を行う。これは、CPUの1コアあたりの処理能力を基準に、I/Oチャネル、ストレージのスループットが最大になるように構成を決定する。実際には、Excelを使って行い、このスプレットシートは一般にも公開される予定だ。
また、会計・財務(20種類)、営業管理(10種類)、小売業向け店舗の見える化(6種類)、製造業向けの現場の見える化(6種類)のテンプレートも提供され、テンプレートには、デーベーススキーマ定義、Reporting Services レポート定義(RDL)やプロジェクトファイル、サンプルデータ、レポート説明書が含まれ、アプライアンスを提供するSIパートナーがこれをユーザーニーズに合わせてカスタマズし、ソリューションとして提供する予定だ。
そのほか、マイクロソフト コンサルティング サービス(MCS)より、日本HPおよびデルと共同で SQL Server Fast Track Data Warehouse の導入、検証支援サービス「Proof of Concept(PoC)サービス」を提供する。このサービスでは、SQL Server Fast Track Data Warehouse の実機を利用し、ユーザーの環境に近い状態での評価・検証を実施、最適な構成をシステム導入前に確認するもので、価格は500万円程度からになるという。
五十嵐氏は「BIのユーザーは費用対効果を求めている。これまでのDWHの価格はブラックボックス化しており、取っ付きやすさがなかった。われわれはこの部分をクリアにし、競合他社の半分から3分の1の価格で提供する」と述べ、価格パフォーマンスの良さをアピールした。