こうしたTCO削減は運用管理が行われて始めてその真価が発揮できるものであり、そうしたソリューションの代表としてサイトロックのクラウド型ICT資産運用管理プラットフォーム「siteROCK Remote Station(SRS)」および7月に日本法人が設立されたばかりのAbsolute Softwareのセキュリティソリューション「Computrace」の紹介も行われた。

サイトロック代表取締役社長の荒谷茂伸氏

サイトロックのSRSは、クラウドコンピューティング環境下におけるPCの管理もクラウド上で行うことを可能とするもの。「これによりロケーションを気にせずに、ネットワークにつながっていればどこでも管理が可能となる。例えば、グループ内の各企業のネットワークが異なっていても、1つの画面ですべてを管理することも可能なほか、それぞれのグループ会社のトップだけのネットワーク形成といったことが可能となる」(同社代表取締役社長の荒谷茂伸氏)という。

また、運用業務自体も同社が請け負うことも可能であり、「vProを活用することで、ネットワークの管理や遮断、パッチ配布などを遠隔から電源のON/OFF機能を生かして集中管理することができるようになっており、効率的な運用管理を実現することができる」(同)とアピール。すでに複数社で実績を重ねているという。

クラウドの活用で、ロケーションやグループ間の接続を気にせず管理することが可能

Absolute Software 日本代表の田北幸治氏

一方のAbsoluteのソリューションはvProのセキュリティ機能であるIntel Anti-Theft Technology(AT)を活用したもの。PCに対するセキュリティをSaaSで提供するというもので、盗難/紛失時の遠隔PC遮断・ロックのほか、盗難/紛失時の遠隔データ消去、盗難/紛失時の発見、回収支援サービスを提供する。また、平時のサービスとしてハードウェアおよびソフトウェア資産の管理も可能である。

すでに全世界で1億1,000万台以上のPCに搭載されている実績を持ち、サービスを実際に利用しているカスタマは欧米を中心に400万以上におよぶという。盗難/紛失時の基本である遠隔PC遮断・ロックは、ユーザが盗難時に管理者に報告、管理者はAbsoluteのセンターに遮断・ロックの指示を出し、センターから遮断・ロックの要求(Poison Pill)が発せられ、対象PCがネットワークにつながった瞬間にIPアドレスなどを頼りに対象を捕捉、遮断・ロックを行うというもの。

遠隔PC遮断・ロックの概要

同社には、PCの回収チームがあり、得られた情報を頼りに遮断・ロックされたPCを回収することが可能。回収したPCは遮断・ロック状態であっても、管理者の発行するパスワードにより、PCを復活させることができる。

また、犯人が用心してネットワークに接続せずにHDDのフォーマットやOSの再インストールなどを行った場合でも、OS上にアプリケーションエージェントが存在するほかBIOS上に配置されたモジュールによりアプリケーションエージェントを自動的に復活させることが可能であり、貴重なデータを保護することが可能である。

同社の実績として、Absolute Software 日本代表の田北幸治氏は、「契約しているPCの内、約4,000台が1年間で盗難や紛失にあうが、その内約3,000台を当社チームの追跡により回収することに成功している」としており、「これまでも企業は、盗難や紛失をいかに防ぐかに注力してきたが、いざなくなった時の対応策は脆弱である。こうしたソリューションを活用することで、万が一に備えるリスク管理が可能になる」(同)と、その意味を強調する。

Windows 7でvProは変わるのか

先述もしたが、マイクロソフトは企業向けにすでにWindows 7の提供を開始している。Intelとしても、開発時点からvProとの連携といった形で協力しており、「Windows XPやWindows Vistaと比べて、同一のハードウェアであってもより高いパフォーマンス、きめ細かい電力管理、システムの停止/起動/回復時間の短縮、仮想化、セキュリティなどの部分が強化されている」(及川氏)とし、「(Windows 7の提供が始まった)この時期だからこそ、戦略的なIT投資について考えてもらいたい」(同)としている。

IntelとMicrosoftが連携することでさらなるTCO削減が実現可能になるという