ファッション誌『Vogue』の表紙モデルを匿名のブロガーが自身のブログで侮辱していた事件の裁判だが、原告となったモデルのLiskula Cohen氏が、ブログ運営会社であるGoogleから匿名ブロガーの電子メールアドレスとIP情報を勝ち取ったことはすでにお伝えした通りだ。メールアドレスを入手したCohen氏は翌19日、米ABC Newsに登場してその後の顛末について独占インタビューで語っている。

ABCに担当弁護士とともに登場したCohen氏は、メールアドレスを入手したときの心境を「飛び上がって喜んで母親に連絡した」と述べており、さっそくメールアドレスに連絡して携帯番号を聞き出したという。すぐさまその番号をダイヤルして開口一番にしゃべったことは「こんにちは。ご機嫌いかが?」という定例の挨拶で、それから彼女が切り出したのは今回の件の謝罪だった。相手は弁護士を通さずに話していることに萎縮しているようだったが、「もう個人的な問題なので関係ない」と返しつつ、今回の件での相手の侮辱行為を許すとともに、自身とどのようなつながりがある相手なのか聞き出したという。

その結果わかったのは、まず相手が女性であること、またここ1年ほどは会っていなかったというものの、Cohen氏がニューヨーク内のディナーやパーティに出かけた際はその場に居合わせることが多かったという。だが彼女が当初恐れていたような身近な友人ではなく、あくまで近くで彼女を見ていただけという関係のようだ。Cohen氏が「私は友人を信頼している」とコメントしているように、近親者が彼女を攻撃していたという状態ではなかったのも安心材料だったといえるだろう。

インターネットにおける侮辱行為や攻撃は、今日でも頻繁に見られている。こうした書き込みを事細かくチェックして修正や謝罪を求める者がいれば、それを知らずに、あるいは知っていてもそのまま無視して通り過ぎてしまう者も多いはずだ。だがCohen氏は「こうした行為は見過ごせない。なんで見過ごすことができるのか」という意志で裁判に臨んだという。最終的には対面での話し合いに持ち込むことが目的だったが、その願いは成就されたようだ。

ABC NewsのサイトにはCohen氏への独占インタビュー動画が掲載されており、ぜひ興味のある人は一度見ていただきたい。この中で担当弁護士のSteven Wagner氏は今回の裁判の結果について「インターネットを変えることができるかはわからないが、そこでの一部の人々の活動を変えることはできるだろう」とコメントしている。