アップルは、報道関係者向けに「Final Cut Studio」の機能説明会を開催。アップル本社から来日したFinal Cut Studio担当シニアプロダクトマネージャー・Judson Coplan氏が、100を超える新機能の一部を紹介した。

「Final Cut Studio」は10万8,800円。「Final Cut Pro」からのアップグレードは3万1,800円。なお、動作させるためにはIntel製CPUのMacが必要だ

今回の説明会のなかで、特に推奨していた機能は、Final Cut Studioの中心ツールであるビデオ編集ツール「Final Cut Pro 7」に新たに加わった3種類の「ProRes」コーデック。これまでは「ProRess 422 HQ」(220Mbps)と「ProRess 422」(145Mbps)の2種類しか選択できなかったが、本バージョンから新たに「ProRess 4444」(330Mbps)、「ProRess 422 LT」(100Mbps)、「ProRess 422 Proxy」(45Mbps)の3種類のコーデックが追加された。最高画質の「ProRess 4444」の映像は、従来の最高画質よりもさらに100Mbps以上もハイクオリティーな映像で、「Final Cut Studio」に取り込む前の素材とまったく変わらないほどの画質を誇っている。一方、最低画質の「ProRess 422 Proxy」は、編集用に使用する低ビットレートのコーデック。実際に説明会で紹介された映像をみた限りでは、編集用として使うだけでは十分過ぎるほど高画質であるという印象を受けた。

続いて紹介された機能は、映像の再生速度を自在に可変させる機能。シーンの途中で映像が急にスローモーションになるような映像を作成するための機能だ。これはCFなどでよく使われる技法で、大抵の映像ツールに同じような機能は備わっているが、本ツールは使いやすさにこだわり制作されており、マウスドラッグのみで思いのままの速度に加工できる。そのため、短時間で思い通りの速度可変映像を仕上げることが可能。また凝った編集を行う場合はキーフレーム単位で編集することも可能だ。このように、同ツールはハイアマチュアからプロまで使える、とても優れたインタフェースになっている。

デモで使用された映像は、「RED ONE」で撮影された「スペシャライズド(米国の自転車メーカー)」のCF

また映像の音声トラックを作成するツール「Soundtrack Pro 3」は、音楽系のツールとは異なり、映像の音声を作る機能に特化して開発された製品。レコーディングが異なった場所で行なわれた場合に、すべての音声を同じボリュームに自動調整してくれる「音声レベル調整」などを搭載する。ロケ現場とスタジオで録音した一定でない音声レベルの音素材を、ほぼ同じ音量に調整できるので、映像の編集時間が大幅に短縮化されるはずだ。

そのほかにも、「AVC Intra」にネイティブ対応や、「4K デジタルシネマ」対応、「iChatシアター」を使って共同作業ができるなど、プロクリエイター向きの機能を多く搭載したバージョンアップとなった。