不況はこんな小さなところにも……。米ニューヨークはブルックリンのあるコーヒーショップが出した但し書きが話題になっている。米Wall Street Journalの8月6日(現地時間)付で掲載された記事によれば、同地区にあるNaidre'sという小さなコーヒーショップでランチタイムのノートPC使用禁止を打ち出したという。稼ぎ時のランチタイムにノートPC客に長時間テーブルを占領されると困るというのがその理由のようだ。
Naidre'sはブルックリン内に2つの店舗を構えるコーヒーショップで、店内には無料のWi-Fiが完備されていつでもインターネットに接続できる。だが2008年春からランチタイムでのノートPC使用と店内の充電コンセント利用が禁止されている。この時間に狭い店舗でノートPCを利用する方法は、食事ついでにちょっとしたメールチェックや作業を行う場合のみだ。同店のオーナー自身がコンピュータ業界の出身で、自身もITには好意的だが、こうしたノートPCユーザーが営業の妨げになっていることを実感している。電源の使用も同様で、コスト削減と長時間滞留を防ぐための作戦のようだ。WSJによれば、不況もあってか、ニューヨーク内でノートPCが利用できるこうしたコーヒーショップの数は以前と比べて減ってきているという。だが一方で、例えば大陸の反対側にあるサンフランシスコでは、いまでもWi-Fiが無料提供され、さらに大量の電源コンセントを設置し、利用にあたっての制限を特に課していないコーヒーショップが数多くある。同じ米国であれ、事情は違うようだ。
また通信キャリアと契約し、店内で有料のWi-Fi接続サービスを提供しているような大手コーヒーチェーンでは、いまのところノートPC禁止のような措置は考えていないみたいだ。例えばStarbucksや書店チェーンのBordersでは、ノートPC制限の計画はないという。先日Wi-Fiの無料解放を発表した書店チェーンのBarnes & Nobleでも同様に制限計画はない。
学生や旅行者にとって、比較的長時間滞在してノートPCを広げつつ作業できる環境はありがたい。出張の多い筆者も出先での作業が多いため、こうしたスペースは頻繁に利用するし、T-MobileやStarbucksのWi-Fiアカウントも契約している。また電源も生命線だ、特に飛行機での移動が多い場合など、待ち時間において空港での充電は非常に助かるケースが多い。空港など公共の場での電源コンセント利用は賛否両論あるが、実際に利用している乗客が多いこと、またニューヨーク近郊のケネディ国際空港(JFK)のように空港内にわざわざ充電専用のスタンドが設置されていることもある。ノートPC遊牧民には苦難の時代だが、こうした限られた実用スペースを有効活用していきたいところだ。