6月19日に109シネマズ川崎、菖蒲、箕面の3館に導入された「IMAXデジタルシアター」。第1弾上映作品『トランスフォーマー/リベンジ』の109シネマズ川崎の公開初日チケットは、すべて前売り券で完売するという反響の大きさをみせた。従来とは違った映像体験ができると、注目を集めている上映システムIMAXの魅力について、IMAX代表取締役社長であるリチャード・L・ゲルフォンド氏に話を訊いた。

様々な要素により生み出された臨場感がある映像体験

IMAX代表取締役社長リチャード・L・ゲルフォンド氏

――ついに日本に上陸した「IMAXデジタルシアター」ですが、IMAXの魅力とはどういったところでしょうか。

リチャード・L・ゲルフォンド(以下、ゲルフォンド)「まず言えるのは、IMAXデジタルシアターは、この地球上でもっとも臨場感のある劇場であるということです。まるで映像の中に入り込んでいるような映像体験ができます」

――具体的には、従来の劇場の何を変えることによって実現したのですか。

ゲルフォンド「まず通常の劇場はスクリーンが横長になっていますが、IMAXは正方形に近い形状をしています。そしてスクリーンの左右両端が湾曲しています。そのため通常の劇場に比べ、よりスクリーンに近い場所に客席があります。実際にスクリーンを見ていただくと分かると思いますが、実寸よりもはるかに大きく感じられると思います」

――技術面においては、何か特殊な技術が使われているんですか。

ゲルフォンド「我々の映写システムはふたつの映写機で成り立っています。この映写機の間には『IMAXイメージエンハンサー』と呼ばれる装置が入っており、この機械を用いて、スクリーンや客席からのデータを受信し、ふたつの映写機で映像の明るさを調整しています」

――劇場のサイズによって映像の明るさを常に調整しているということですね。

ゲルフォンド「はい、リアルタイムでのフィードバックを行い、明るさを調整しています。サウンドシステムも同様に、劇場内にお客様が何人入っているかによって音量を自動調整しています。通常の劇場ですと、スピーカーに近いお客様は音量が大きく、そうでない方には小さく聞こえるといった差が生じてしまいます。その差をなくすために、お客様の座っている位置も察知して、調整を行い、どの座席でも同じ音量で映画を楽しむことができるのです」

――マスターの映像データ自体にも手を加えて、映像のクオリティを上げることもあるのですか。

ゲルフォンド「はい。映画『トランスフォーマー/リベンジ』では、デジタル処理したデータに、さらに線や輪郭を鮮明にしたり、明るさを調整したり、粒子の粗さを軽減させたりといった処理を加えました」

――映像自体に手を加えることにより、監督が描きたかった映像と違った映像になってしまう懸念があると思うのですが。

ゲルフォンド「我々がひとつの作品のIMAX化を行うときは、常のフィルムメーカーと綿密な打ち合わせを行いながら作業を進めていきます。ですから、各シーンを監督に観ていただき、監督からこのシーンはシャープネスを下げてほしいと言われたらそれにも対応します」

――IMAXカメラという特殊なカメラがあると聞いたのですが、そのカメラで撮影すると映像的にはどういった変化が起こるのですか。

ゲルフォンド「映像のサイズが大きくなります。IMAXカメラで撮影したシーンはスクリーン全面を使った映像になります。映画『トランスフォーマー/リベンジ』では格闘シーンで用いました。このように画面サイズを大きく変化させることを、映像演出のひとつの要素として使うことができます」

従来の2D映像を3Dに変換するIMAXの技術

――第2弾上映作品『ハリー・ポッターと謎のプリンス』では、日本初のIMAX3D映像が含まれているそうですね。

ゲルフォンド「はい。我々のテクノロジーを使うことにより、2D映像を3D映像に転換させることができ、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』ではIMAXデジタルシアター限定で冒頭の12分間を3D映像で鑑賞することができます」

――IMAXでの映像効果に最適な映画とはどういった作品なのでしょうか。

ゲルフォンド「ふたつの種類に集約されると思います。まずは映画『ターミネーター』や、『バットマン』など、映像に大変興味を持っている方が好むような作品、要は映像を身体で感じることによって、さらに内容が楽しめる作品です。そしてもうひとつは映画『ナイトミュージアム』などのファミリー映画です」

――邦画のIMAX化や、IMAXカメラを用いた作品制作が行われたことはありますか。

ゲルフォンド「邦画に関しては、IMAX化もIMAXカメラを用いた作品も今のところありません。これまではハリウッド映画しかIMAX化を行ったことはなかったのですが、最近、中国映画のIMAX化を行うことが決定しました」

――IMAXでの映画鑑賞は通常料金よりも高く設定されています。日本では、通常の映画鑑賞料金でさえ高いという見方もあるのですが。

ゲルフォンド「映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』には12分の3D映像部分があります。この作品で通常の映画鑑賞とは比較にならない映像体験ができるというのが、口コミで広がることを期待しています。これは海外での話ですが、映画『トランスフォーマー/リベンジ』はアメリカの約7,000館で公開されるのですが、そのうちIMAX劇場は150館です。しかし、同作品の前売り券販売実績は全体の売り上げの半分をIMAX劇場が占めているのです。昨今の経済状況から考えて3割4割増しの料金は高いと感じるかもしれません。しかし皆さんにIMAXデジタルシアターの魅力を体験していただいたら、この料金を高いとは感じないはずです」

映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』は7月15日より、日米同時公開。マイコミジャーナルでは、IMAXデジタルシアターの映画招待券を20名様にプレゼントする。日本初公開となるIMAX3D映像を、是非この機会に体感して欲しい。

ハリー・ポッターと謎のプリンス

迫る最終決戦に向け、ダンブルドアはハリーと力を合わせ、準備を進める。一方、ホグワーツでは、思春期を迎えた生徒たちが恋愛ムード一色に……。16歳となったハリーを待ち受ける過酷な運命とは……? ハリー・ポッターシリーズ第6弾となる本作は、IMAXデジタルシアター限定で12分間の3D映像を含む日本初のIMAX3D版での公開となる。出演は、ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ジム・ブロードベント、ヘレナ・ボナム=カーターなど。
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インタビュー撮影:石井健