スタイリッシュでデザイン性の高い雑貨を集めた第4回デザイン雑貨EXPO「DESIGN TOKYO」が、8日から10日まで、東京ビッグサイトにて開催された。この同イベントで、展示された製品のなかから優れたデザインのアイテムや、クリエイター要注目のアイテムをいくつかピックアップして紹介していこう。
アリの巣を素材に用いたインテリア
LED照明機器の製造販売、ソーラ発電や、風力発電などを手がけるエプセルは、アリの巣や貝殻と光を調和させたインテリア照明を展示。すべての展示作品が絶妙な光の漏れ具合を演出していた。巨大クラゲを思わせる直径約1.5mほどのインテリア照明「TERMITE GLASS WITH TERMITE HOUSE INLAY」は、レンコンの輪切りのようなパーツが無数に貼り付けてあり、その穴が発光している。この素材はなんとアリの巣のスライスで出来ているとのこと。直径5cmほどの砂状のアリの巣を特殊な樹脂(ファイバーグラス等)で固め、透明な照明ボードにランダムに貼り付けて製作された製品なのだ。
ほかにも、多数のユニークな照明機器が展示してあった。左から電気うなぎをイメージして製作されたUBOD LAMP(左)、恐竜や象などの角のイメージをしたIVORY LAMP(中央)、フラミンゴをイメージしてデザインされたFLAMINGO LAMP(右) |
素材の良さを前面に押し出した未来的デザインバッグ
ベアート・ロッソが展示したのは、これまでにない手触りと軽さが印象的な新作バッグ。もともとランチョンマットに使用していたポリプロピレンを新作バックの素材に採用したという。鮮やかな色と皮が調和した同製品を、今すぐ欲しいと語るデザイナーや、バイヤーたちも多かったとのこと。
エコを追求したシンプルなデザインインテリア
実用的でかつエコ、シンプルな棚を提案したエーワンパッケージでは、スチール製の2枚の格子とダンボールでできたボックスを組み合わせた「格子TANA」を展示。2枚のメタル格子の間に、ユーザーが自由にダンボールを配置し、自由にデザインすることができる。展示ではワインセラーや書棚が展示されていたが、部屋のスタイル合わせることができるほか、さまざまな用途に利用できることが特徴だ。
1台2役のデザインアイテム
バンダイのグループ企業であるシーズが制作した、キャンドルのように輝くグラス「honono Veere」。グラスと着脱可能なキャンドル部分は、LR系ボタン電池を組み込んだLEDゆらぎキャンドル「ホノノ」になっている。ホノノ単体で使えば、キャンドルやアロマをイメージした照明器具としても活用できる。同社の開発担当者は「グラスの下に組み込むホノノ部分に、冷たいドリンクを入れると結露が生じてしまうため、デザイン制作が難しかった」とコメントした。
伝統工芸とデザイナーのコラボにより生まれたアイテム
秋田杉工芸品である伝統工芸品・大館曲げわっぱは、弁当男子の出現などによる昨今の弁当ブームにより、わっぱの弁当箱が多く生産されているという。大館工芸社の担当者は、「これまでにない新シリーズとして、デザイナーと共同で新たな曲線を用いた新作を出しています。デザイナーは難しい曲線を提案してくるので、製作側は大変です」と日本の伝統工芸品にも、これまでとは違ったデザイン性が求められていることが分かった。
アイディア勝負のユニークなグッズ「現状打破」
最後に紹介するアイテムはベースメントが制作した、遊び心満載のアイテム「現状打破」。自分の殻を破るためのアイテムとして製作され、決意表明グッズとしても活用できる。まず陶器でできたタマゴに、「低収入」、「臆病者」などの自分の現状の思いを書き込み、それを金槌などで割り、割れた破片類を同封の封筒に入れて「現状打破祈願祭」に送る。すると同社の担当者がユーザーの願いをまとめて祈願するというユニークなシステムになっている。
同展示会で感じたことは、優れたアイテムには、発想や、デザイン、制作といった一連の流れのなかに、クリエイターのこだわりや遊び心、挑戦、葛藤などがどの製品にも存在していたということだ。こうしたデザイン性に富んだ雑貨が、実際にショップに置かれる日が待ち遠しくなった。