5月20日に東京・渋谷で行われたMicroStrategy 9の発表イベントでプレゼンを行うPaul Zolfaghari氏
MicroStrategy, Executive Vice President, Worldwide Sales and Operations

ここ最近、BI(Business Intelligence)がちょっとしたバズワードとなっている。単なるレポーティングツールという位置づけから、データ分析に欠かせないソリューションと見る向きが増えたようだ。これは企業で取り扱われるデータ量が日に日に膨大になり、その分析の重要性が改めて見直されていることに起因すると見ていいだろう。

2007年、専業BIベンダのほとんどがいわゆる"ITジャイアント"と呼ばれる巨大ベンダに買収されたが、そういった流れに抗うかのように、ひたすら専業BIベンダとして、顧客満足度の向上と製品の機能強化に努めてきたのがMicroStrategyだ。同社は今年3月、同社にとって"この10年で最も重要"なメジャーリリースとなるBI製品「MicroStrategy 9」を発表した。約8,000にも及ぶ強化/改善ポイントは、「すべて顧客からの要望に耳を傾けて開発したもの。当社は競合他社のように、買収による製品統合のためにリソースを費やす必要はないのだから」と語るのは、MicroStrategyでエグゼクティブバイスプレジデントを務めるPaul Zolfaghari(ポール・ゾルファガーリ)氏。同社製品の販売とオペレーション部門をワールドワイドで統括する人物だ。

この5月、日本でもお披露目をしたMicroStrategy 9の新機能、市場での展開、大きく変わりつつあるBI業界の展望、そして日本法人であるマイクロストラテジー・ジャパンのトップに迎えた印藤公洋氏への期待などについて、Zolfaghari氏から話を訊く機会を得たので、ここに紹介したい。

--MicroStrategy 9は8,000以上の機能強化が行われているとのことですが、その中でも最も強調したいポイントは何でしょうか。

1つだけと言われるなら、パフォーマンスの大幅な改善でしょう。これは「インメモリROLAP(Relational Online Analytical Processing)」というキャッシングテクノロジを採用したことで実現しました。データウェアハウス(DWH)からホットスポットをなくす技術とも言えます。これにより、前バージョンに比べて2 - 50倍の高速化が実現しました。

当社製品に限らず、BIにおけるパフォーマンスの改善は、すべての顧客が望むことです。たとえば、情報を引き出してレポートを作ろうとしても3分、5分かかっていては意味がない。本来なら30秒でできなければならないのです。BIの真の価値は、ビジネス上の意思決定をいかに迅速にできるかという点にかかっています。MicroStrategy 9はその期待に十分に応える製品に仕上がったと思っています。

--そのほかの特徴を挙げるとしたら何になりますか。

2つめであれば、マルチソースROLAPを挙げることができます。データソースが分散している環境下においても、単一のインタフェースを使って複数のデータベースをまたがったドリルダウンが可能です。つまり複数のデータベースを単一のデータウェアハウスのように扱えるのです。それぞれの企業にはそれぞれの事情があり、どうしてもデータが散逸して存在することを免れません。当社は、そういった顧客に対して、分散した部門別BIだけではなく、単一のエンタープライズBI環境を届けたい。すべてのデータは一元化された環境にあるのが理想的なのですから。

MicroStrategyの高速性と多角的な分析手法には前バージョンから定評があります。そしてはデータ量が多ければ多いほどその威力を発揮します。他社製品とあきらかな違いはそこにあるといっていいでしょう。現にMercedez-BenzやStarbucks、eBayなどの大企業が、他社製品からMicroStrategyに乗り換えました。SMBよりも、扱うデータ量の膨大な大企業のほうがMicroStrategyの良さを実感できると言えます。

3つめは完全な多言語対応です。グローバル企業では、さまざなま国の担当者が同じBIアプリケーションで作業を行います。英語でログインしたのであれば英語で、日本語なら日本語で、ドイツ語ならドイツ語で…と、それぞれの言語で表示されることが重要です。インタフェースだけでなく、レポート、ダッシュボード、OLAP分析などの情報もその国の言葉で表示されるため、国や地域をまたいだプロジェクトなどでは大きな助けになるでしょう。

MicroStrategy 9の製品モジュール構成