宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月17日、同日開催された宇宙開発委員会において、月周回衛星「かぐや」(SELENE)プロジェクトにおける低高度運用の成果の報告を行った。

これによると、4月中に近月点10~30kmにおいて、ミニ磁気圏領域を月磁場、プラズマ環境などを同時観測したほか、HDTVカメラによる超低高度の映像撮影を実施したという。また、5月末に、粒子線計測器(CPS)の重イオン放射線検出装置を動作させたが、初期チェックアウト と同じ不具合が再現されたとしている。

6月11日に"かぐや"は月の表側の南緯65.5度 東経80.4度付近に制御落下を実施したが、落下の衝突における閃光については、日本、台湾、韓国、オーストラリア、ニュージーランド 、インドネシアなどにおいて100カ所程度が観測を試みるという事前連絡があった模様で、観測ができたという報告は日本は天候不順のためなく、オーストラリアのアングロ-オーストラリアン天文台、インドのアブ山天文台にて閃光が確認できたと報告しており、これらの画像は、撮影時間からみると、"かぐや"の衝突閃光の可能性があるという。

月への落下確認状況の様子の一部(出所:JAXA)

また、制御落下の軌道においても、日照の領域を中心にHDTVカメラ、地形カメラなどの撮影が実施されたほか、今後はチャンドラヤン1号(インド)による衝突場所の観測において"かぐや"落下場所の月面観測が予定されている。

ハイビジョンカメラが近月点付近で撮影した映像(RYDBERGクレータ付近:撮影時刻は2009年4月17日7時58分から8時0分、撮影場所は南緯45度、東経263度-262度付近 - 南緯52度、東経263度-262度付近、「かぐや」の高度は月面上約11km)(出所:JAXA)

なお、"かぐや"の査読付、科学論文は、発行済みのものが17件、受理済みのものが15件となっており、測地学会誌においては、"かぐや"特集号が発刊される予定であるとしているほか、UPI関連は、日本の惑星科学の英文論文誌「EPS」に論文が掲載される予定となっている。

ハイビジョンカメラによる超低高度観測撮影映像リスト(出所:JAXA)

"かぐや"自体はすでにその役割を終えたが、JAXAでは7月18日から8月23日まで秋葉原で実施されるグリーンフェスティバルの共催として、「Fly me to the Moon in AKIBA―月周回衛星「かぐや」と今後の月探査」と題した、"かぐや"の成果を中心とする月探査プロモーション活動を実施するほか、7月24日~25日のJAXA相模原キャンパスの一般公開の一環として、相模原市立博物館と協力し、"かぐや"映像を用いたデジタルプラネタリウム用番組「3D MOON」の特別試写を実施する予定としている。