JR北海道は13日、顧客の個人情報が含まれた使用済みの「熱転写型インクリボン」を同社男性社員が無断で持ち出し、インターネットオークションに出品していたと発表した。出品された3本は同一人物により全て落札されていたが、「落札者と引き取りの交渉を行い、理解を得てすでに回収した」(JR北海道)としている。
熱転写型インクリボンは、乗車券販売端末できっぷの券面を印刷する際に同社で使用している。カーボンコピーと同じ原理のため券面と同じ内容の痕跡が残る。インクリボン1本で約3,000枚のきっぷを印刷可能で、大半は乗車券や特急券など個人情報を含まないきっぷの印刷に使用。一部は個人情報の痕跡が残る定期券やクレジットカード利用控えなどの印刷に使用される。
同社では現在、使用済みの熱転写型インクリボンは現場で3カ月間鍵付の保管庫で保管した後、廃棄数量を台帳に記入した上で本社へ送付。熱転写型インクリボンを溶解できる業者へ引き渡している。
だが、稚内駅と幌延駅において、熱転写型インクリボンを本社に送付するのではなく、帳票類を溶解処理するための回収業者に誤って引き渡した。その結果、回収業者が紙専門の溶解業者に熱転写型インクリボンを渡したものの受け取りを拒否されため、旭川駅構内にある廃棄物保管庫に保管。これを旭川支社管内の56歳の男性社員が無断で持ち出したという。
無断で持ち出された熱転写インクリボン3本には、クレジットカード番号と有効期限(氏名なし)、定期券に記載された氏名・年齢・性別など、顧客475人分の情報が記載。これを男性社員が持ち出し、インターネットオークションに出品した。
4月6日、顧客から同社に「インターネット上で熱転写型インクリボンが取引されている」との連絡があり、インターネットオークションを確認。出品者を確認したところ、10日に同社社員であることが判明。出品されたインクリボンは同一人物が全て落札していたため、同社ではこの人物と引き取りの交渉を行い、すでに買い戻したという。
同社では、男性社員を社内規定に基づき処分する方針。「二度とこのような事態が生じないよう、さらなる顧客情報の厳正な取り扱いと適正な管理に努めていく」としている。