After Effectsへの素材受け渡し

Premiere Proで編集中のクリップを一時的にAfter Effectsへ渡して加工するには、まずPremiere Proのタイムライン上で引き渡すクリップを選択しておき、ファイルメニューのAdobe Dynamic Linkをクリックする。メニューの中に「After Effectsコンポジションに置き換え」があるので実行すると、After Effectsが起動して、クリップが自動的に読み込まれる。あとはAfter Effects上で加工の設定をして、そのまま閉じずにPremiere Proを手前に表示するだけで、After Effectsで施した加工が反映される。この操作を行うと、ビン内に「CS4 Report リンクコンポジション」という新しいクリップが作成され、それがタイムラインに貼り直される状況となる。

図3

「Premiere Pro CS4」のDynamic Linkメニュー。ビデオ2トラックのトランジション用に貼り付けたクリップを選択してAfter Effectsに送ろうとしているところ

図4 図5

Premiere Proにはないエフェクトである「CC Scale Wipe」を設定したところ。この状態でPremiere Proを前面に表示すれば、数秒の時間差で効果が反映される

こちらはPremiere Proの編集画面だが、効果が反映されたことがわかる

図4はPremiere Proには備わっていない「CC Scale Wipe」効果を設定した画面であるが、After Effectsの力を借りることで、Premiere Pro上でこのエフェクトを実現できる。ただしクリップがリンクコンポジションに置き換わっているため、Premiere Proのエフェクト内にはCC Scale Wipe効果は現れない。この効果の修正は、After Effects上で行う仕組みとなる。何らかの原因でAfter Effectsが閉じてしまったときは、タイムライン上の該当するクリップを右クリックし、メニューから「オリジナルを編集」を実行すれば、再びAfter Effectsが起動して、再加工を行える。

After Effects CS4の新機能

近年需要が高まりつつある3D空間への対応として、After Effectsのカメラツールが標準的な3Dモデリングアプリケーションのように動作できるようになったり、Photoshopから3Dのレイヤーを読み込めるようになっている。エフェクトでは「カートゥーン」と呼ばれるビット数削減効果が新たに導入された。目を引くところでは、モーショントラッカーにImagineer Systems社の「Mocha」を採用したことだろう。CPUの性能向上と共に、従来は上位システムで行っていたような合成作業を、PC単体でこなせるようになってきた。Mochaを使えば、トラッキングの対象物が画面外にフレームアウトしても、予測で追いかけてくれる。もちろんトラッキングデータは同じコンポジション内の画像に適用できるので、動く被写体に対する質の高い合成が可能となる。

図6

After Effectsのモーショントラッキング画面。特徴のある部分を追うことで、動く被写体の動きをデータとして保存し、他の画面などと同期して合成できる

後編では、音声編集に長けた「Soundbooth」、オーサリングソフトである「Encore」とのリンク機能について紹介していく。