IDC Japanは3月10日、昨今の経済動向を反映した、国内産業分野別IT市場の予測を発表した同予測は、2008年11月に発表した国内産業分野別IT市場の予測を見直したもので、2008年第3四半期(7月~9月)までの実績と、2008年12月までの経済状況に基づいている。

同社では通常は、次回の国内産業分野別IT市場の予測は2009年5月に実施予定としているが、急速に減退する経済環境に伴って企業のIT投資の変化を短い周期でとらえる必要があると考え、今回の見直しを実施したという。

同社は2月2日に、2009年の国内IT市場規模が12兆3,788億円、前年比成長率がマイナス1.7%と、大幅に下方修正した予測を発表している。今回の発表はそれを産業別に分析したもの。

産業分野別に見ると、2009年のIT投資前年比成長率は、業務効率化や情報基盤整備に関連したIT投資が盛んな「運輸/運輸サービス」「医療」「一般サービス/その他」などの業種を除き、多くの産業でマイナスになるものという。特に、これまで国内のIT投資を牽引してきた「銀行」「組立製造」「通信/メディア」をはじめ、「証券/その他金融」「卸売」「建設/土木」といった業界におけるIT投資は、大きくマイナス成長になると予測している。

同社でITスペンディング シニアマーケットアナリストを務める内海美徳氏は、「国内景気の低迷は企業業績を直撃しており、今後ますます企業のIT投資に対する見直しが増えると予測される。ITベンダーは、IT投資が期待できる産業に向け、商品やソリューション、体制などを早急に再構築し、競合他社に先駆けて行動する必要がある」と述べている。

産業分野別IT投資成長率の推移(2008年~2010年) 資料:IDC Japan