マイクロソフトは、すでに米国でサービスが開始されているビジネス向けのオンラインサービス「Microsoft Online Services」を、4月から日本でも開始すると発表した。そして、正規サービス開始の先立ち、3月10日から日本語ベータの提供を開始する。

「Microsoft Online Services」は、Exchange ServerやOffice SharePoint Serverの機能を、オンライン上で利用できるサービス。サーバは、マイクロソフトが運営するデータセンターに置かれ、利用者は月々の料金を支払うことで、自社にサーバを設置することなくサービスを利用できる。

提供されるサービスは、電子メール、予定表、施設予約など、Exchange Serverの機能を利用できる「Microsoft Exchange Online」、ファイル共有、ポータル、掲示板などOffice SharePoint Serverの機能を利用できる「Microsoft Office SharePoint Online」、インスタントメッセージの機能を提供する「Microsoft Office Communications Online」、Web会議の機能を提供する「Microsoft Office Live Meeting」、フィルタリング、暗号化、アーカイブなどを提供する「Exchange Hosted Services」の5つ。

サービスラインナップ

これらは、1つずつ契約することもできるが、「Exchange Hosted Services」以外の4つのサービスをセットしたスイートパッケージ「Microsoft Business Productivity Online Suite(BPOS)」も別途用意される。

BPOSのライセンスは、メールボックス容量5GB、Outlook接続可能、Exchange OnlineとSharePoint Onlineのフル機能など、BPOSすべてが使えるStandardと、Webアクセスのみのサポート、Exchange OnlineとSharePoint Onlineのみ、メールボックス容量500MB、共有ファイルは読み込みのみの「Deskless Worker Suite」の2種類が用意される。

利用形態による2つの選択肢、同じ社内で組み合わせることも可能

日本での提供の価格は未定だが、BPOSのStandardが1500円-1600円程度、Deskless Worker Suiteが300円程度で提供される見込みだ。

今回のサービスは、月間稼働率99.9%の提供をうたっており、それを下回った場合は利用料を返却するとのことで、月間稼働率が95%を下回った場合は全額返却する。

今回のサービスは、SLA(Service Level Agreement)を結んだ上で提供される

なお、本日より提供されるBPOSの日本語ベータは、1登録について20ユーザーまで利用でき、正式サービス開始後30日後まで利用可能(正式サービス開始は2009年4月。詳細な日時は未定)。また、ベータでのデータをそのまま利用して正式サービスに移行することもできる。ただし、Office Communications Online は、日本語ベータの提供は予定していない。

マイクロソフト 業務執行役員 インフォメーションワーカービジネス本部 本部長 横井伸好氏

マイクロソフトでは従来から、自社サーバによる運用(ソフトウェア)と、クラウドによるサービス(サービス)を融合しながら利用する「ソフトウェア+サービス」を提唱しているが、マイクロソフト 業務執行役員 インフォメーションワーカービジネス本部 本部長の横井伸好氏は「ソフトウェア+サービスは、ユーザーに選択肢を提供するのが重要な使命。ユーザーはこれにより、本社では自社サーバ、支店てはオンラインサービスといった現実的なシナリオを利用できる」と語った。また、いずれすべてオンラインサービスに移行するのではないかという懸念に対して同氏は「マイクロソフトは、(Server製品にも)継続的に投資を行っていく。なくなることはあり得ない」と述べた。

「ソフトウェア+サービス」の展開

「Microsoft Online Services」のポータルサイト

「Microsoft Online Services」にアクセスするための専用画面が用意される

「Microsoft Online Services」の管理者用画面

ユーザー登録画面。ユーザーはCSV形式でのインポートのほか、Active Directoryからのインポートも可能

Outlook Web Accessで接続したメール画面

予定表(Outlookによるアクセス)