Texas Instruments(TI)は2月17日、モバイル・アプリケーション・プラットフォーム「OMAP4」を発表した。同プラットフォームは、4つのメインエンジンで構成されるSoCとなっている。

特に、マルチメディアエンジンは、同社のDSP「C64x」ならびにマルチフォーマット対応ハードウェアアクセラレータから構成されており、汎用プロセッシングエンジンには、SMPをサポートするとともに、1個のコアあたり1GHzを超す動作速度を有するデュアルコアプロセッサ「ARM Cortex-A9 MPCore」を採用している。このほかのエンジンは、プログラマブル・グラフィックス・エンジンおよびISP(イメージ・シグナル・プロセッサ)エンジンとなっている。

45nmプロセスで製造される同プラットフォームファミリの最初の製品として、「OMAP4430」「OMAP4440」の2製品が予定されている。これらの製品は、Cortex-A9およびC64xのほか、グラフィックスエンジンとして「Power VR SGX540」を搭載するほか、専用のISPを搭載することで、1080pのHDビデオの再生および録画、2,000万画素のイメージング処理機能によるデジタル一眼レフ(SLR)カメラ相当の性能、タッチスクリーン操作、WSXGAを超す組み込みディスプレイ、HDMI互換の外部ディスプレイなどをサポートする。

また、パワー・マネジメント・テクノロジーにより、1080pのHDビデオの再生は10時間以上、録画も4時間以上可能なほか、CD品質のオーディオ再生では140時間以上が可能になるという。

なお、Android Mobile PlatformやLimoなどのLinuxから派生したモバイル向け組み込みOS、Symbian OS、Windows MobileなどのOSをサポートする予定。

一方の「OMAP3」では、従来の65nmプロセス品に加え、45nmプロセスを採用した「OMAP36x」ファミリを発表した。従来の65nmプロセス品でのソフトウェア資産などを再利用可能なほか、Logicが開発した開発プラットフォームの強化版「Zoom OMAP34x-II MDP」を用いることで、市場投入時間の短縮が図れるようになるという。

45nmプロセス採用OMAP3は、従来のOMAP34xファミリ比で消費電力を約25%低減しているほか、グラフィックス性能を75%向上している。また、CPU、マルチメディア性能、および2D/3Dグラフィックスエンジンを並行して同時に動作させることで、複数のアプリケーションの同時実行をサポートするマルチタスクプラットフォームとなっている。さらに、「OpenGL ES 2.0」に対応。より高い表現を可能にしている。

CPUコアには「ARM Cortex-A8」を採用。最大周波数1GHzで駆動するほか、カメラの画像処理用にISPを搭載しており、最大1,200万画素のイメージ処理を行うことが可能となっている。

また、Zoom OMAP34x-II MDPは、QWERTYキーパッド付きの4.1インチのWVGAマルチ・タッチ・ディスプレイを搭載しているほか、TIのワイヤレス接続テクノロジーであるWiLink 6.0(WL1271)を用いることで、1チップに集積されたWi-Fi、Bluetooth、FM機能、NaviLink GPS機能を搭載している。

OMAP36xファミリのサンプル出荷は2009年第3四半期に予定されており、OMAP4プラットフォームおよび開発ツール群のサンプル供給は2009年後半、また量産出荷は2010年後半に予定されている。なお、TIでは、これらの製品は、モバイル端末メーカー各社向けであり、TIの販売特約店から供給されないとしている。