1~6章
初めてJavaScriptに触れる方に基礎を解説
ここではJavaScriptの歴史、変数という概念から型、配列や式にはじまり、制御文や関数の使い方を取り扱う。表や図、サンプルコードが充実しているので、プログラミング初心者でもほとんどつっかかることなく学習できる。またここでは組み込み型のオブジェクトや関数の使い方にも触れている。
JavaScriptはその性質上コピペで動作してしまうコードが多い。しかし関数や型についての理解が深まっていない状態で他人の書いたコードを何も考えずに使用してしまうと、障害が発生した際に迅速な切り分けができなくなりがちだ。自信をもってコードを書けるように、ここでしっかり基礎を学習・おさらいしておこう。
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7~9章
誰もが最初にぶつかる壁~オブジェクト指向の概念
3章~6章までの内容とPrototype.jsやjQueryといったライブラリを使用すれば、簡単な機能だけのWebサイトならば問題なく作れてしまう。しかしここで学習の手を止めてしまっては理解が浅いままに終わってしまうばかりか、肝心の「JavaScriptって書いてて楽しい」を知らずして終わってしまう。
JavaScriptにかぎらない話だが、プログラムは楽しく書いていなければなかなか長続きしないものだ。なにより面白くないのはもったいない。オブジェクト指向プログラミングはイメージができるようになるまで時間がかかるが、いったん慣れたら様々な場面で応用が効くようになるだろう。
章始めではJavaScriptにとらわれていない、オブジェクト指向のイメージの仕方にはじまり、JavaScriptでのオブジェクト指向を基礎から応用までサンプルコードを交えてしっかりと説明してくれている。練習問題だけを解くのではなく、理解できるまでサンプルコードの変数や処理の順番を変えてFirebugで繰り返し実行し、そのイメージをつかみたい。
またWebブラウザのオブジェクトやDOMも、自分の書いたプログラムのパフォーマンスや保守性をあげるためにはぜひ覚えておきたい内容だ。簡単なフォームのサンプルにはじまり、ツリーの探索例やスタイル変更・ツールチップの実装例といった実務でもすぐに活かせる興味深いサンプルが多く載っているので参考にしよう。
10~11章
いまどきのJavaScript開発を~Prototype.jsの使い方
WebアプリケーションにおいてAjaxはもはや欠かせない技術。数年前はWebブラウザ間の動作差異を吸収するため、さまざまな努力をしなければならなかった。しかし今ではさまざまなライブラリを利用することで可読性・保守性の高いコードを書くことが可能だ。
Prototype.jsはその筆頭とも呼べるライブラリのひとつ。本書では、このライブラリでできることがひとつひとつ実例を追って説明されている。またPrototype.jsの章に入る前に、Ajaxの概念についてひととおりのことが書かれている。ライブラリの後ろでなにが行われているかはわからないが、とりあえず便利だから使っている、という方はこれを機にぜひおさらいしておきたい。
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簡単な内容から順を追ってJavaScriptの中核をなす技術に触れていく章立てになっているうえ、各設問にサンプルコードを交えた詳細な説明がなされている。とくにオブジェクト指向プログラミングやDOMは理解するのにむずかしい内容だが、初心者でもわかりやすいように丁寧に解説してくれている。これからプログラミングをする方のみならず、さくっとおさらいしたいデベロッパにもぜひ繰り返し読んでほしい一冊だ。
独習JavaScript
高橋和也、竹添直樹、里見知宏 著
翔泳社発行
2008年11月20日発売
B5変 528ページ
ISBN 978-4798116754
定価2,940円(本体2,800円)