富士経済が調査した「進展する危機管理関連ビジネスの全貌 2009」によれば、世界的な景気悪化に加えて新潟および岩手・宮城の地震による大規模災害、企業の不祥事、新型インフルエンザの世界的流行の兆しなどを背景に、企業や自治体の危機管理に対する取り組みが高まり始めているという。

BCP(事業継続計画)やBCM(事業継続マネジメント)など危機管理関連ビジネスの2008年における市場規模は1兆1,388億円であり、2013年には1兆6,486億円へと拡大する模様だ。

富士経済では、BCP/BCM支援コンサルティングの市場規模は、2008年の110億円から2013年には245億円となると予測。これは、2008年末からBCP/BCMの認知度が高まり、既に策定済みの一部の大手企業が定着に向けて動いていることに加え、日本版SOX法や2010年の国際標準化機構(ISO)による規格認証化の動きや取引先からの要請など周辺環境から、中堅・中小企業にもBCPを策定する動きが広がりつつあるからだという。

また、BCP/BCMに取り組む製造業/金融業/流通業/公共インフラ/自治体などの建築物・設備を、耐震補強や電気/電力/空調設備補強のために実施する工事であるBCファシリティソリューションの市場規模は、2008年の2,500億円から2013年には5,000億円へと拡大するという。

富士経済では、世界的な景気悪化による設備投資抑制の影響を受けるものの、中堅・中小企業が取引先の大手企業からBCP対策を義務付けられていることから段階的な設備投資を続けると予測しており、需要は拡大するという。また、2010年前後からISO規格化の動きと連動し、BCファシリティの需要が高まっていくという。

非常食・保存食/災害用トイレ/非常持ち出し袋/転倒防止用品/マスクからなる防災/新型インフルエンザ対策用品の市場規模については、2008年の638億円から2013年には940億円となると予測する。これは、2007年の新潟県中越沖地震、2008年の岩手・宮城内陸地震など相次ぐ大型地震の発生で防災意識が向上すると共に、事業継続の重要性が浸透しており、またマスクはインフラ系企業や大手企業、海外に事業所を持つ企業が新型インフルエンザ対策として備蓄を進めているためだという。感染症の大流行に発展すれば欠勤者が最大40%になるといわれており、多くの企業が事業継続の観点から重要視しているという。

危機管理ビジネスの分野別市場規模推移

分野 2007年 2008年(見込み) 2013年(予測)
危機管理関連ビジネス 全体 9,953億円 1兆1,388億円 1兆6,486億円
BCファシリティソリューション 1,800億円 2,500億円 5,000億円
DR(ディザスタリカバリ)ソリューション 2,000億円 2,300億円 3,500億円
太陽光発電 817億円 1,022億円 1,773億円
防災/新型インフルエンザ対策用品 506億円 638億円 940億円
BCP/BCM支援コンサルティング 80億円 110億円 245億円
高度利用者向け緊急地震速報 19億円 36億円 144億円
災害対応型自動販売機 23億円 31億円 69億円