富士通の常務理事 環境本部 本部長の高橋淳久氏 |
富士通と富士通総研は1月23日、経営視点で顧客の環境活動を評価し、改善提案を行うコンサルティングサービス2種を開発、販売を開始したこと、ならびにそれらと既存の環境業務ソリューション33種類を組み合わせた環境経営ソリューションの提供を開始することを発表した。
富士通の常務理事 環境本部 本部長の高橋淳久氏は、「これまでの企業の環境への取り組み方は、守りの経営として考えられていた。しかし、現在の市場環境や社会情勢を考えると、企業経営の構造変革が必要であり、その付加価値の1つが環境対応であり、攻めの経営の戦略の1つとして競争の源泉となる」と語る。
これまで同社は、環境業務ソリューションとして、「顧客の継続的な環境経営を支援」してきており、そこに同社の工場などで培ってきた環境ノウハウと富士通総研のコンサルティング能力などを結集させることにより、「環境経営ソリューションとして適切なサービスを各顧客に合わせて提供し、環境経営を高度化し、環境負荷の低減と経済価値の向上に貢献していく」とする。
具体的には、「環境経営評価・改善コンサルティング」と「環境保全活動評価・改善コンサルティング」の2つのコンサルティングサービスを加えた形で提供を行う。環境経営評価・改善コンサルティングは、COSO(Committee of Sponsoring Organizations of Treadway Commission)が提唱する内部統制やERM(Enterprise Risk Management)を実現するために独自に開発したフレームワーク「環境経営フレームワーク」に則り、顧客の環境活動を統合的に評価し、改善提案を行うというもの。
一方の環境保全活動評価・改善コンサルティングは、同フレームワークの構成要素のうち、環境保全活動に特化したコンサルティングサービスとなっている。
富士通総研 常務取締役 伊藤大挙氏 |
「高度な環境経営へと発展させていくには、経営の視点での環境活動を推進していくことが必要」(富士通総研 常務取締役 伊藤大挙氏)であり、「これまでCSRなどの環境保全活動報告などにしか活用されてこなかった取り組みを、一体化することで信頼性を高め、ITを活用し効率を上げるには、全社のマネジメントで推進していく必要があり、そのためには内部統制などで培ったノウハウによるリスクマネジメントの考え方の採用による環境ガバナンスが必要」とする。
なお、環境経営フレームワークを導入する狙いに関しては、「環境経営と経営戦略を一致させることで、いままでの 環境制度に対応するだけの取り組みからビジネスへ発展させることができるようになり、これにより業務改善や強いビジネスへとつなげることができるようになる」(同)であり、「環境活動を網羅的に示し、経営の視点での継続的活動(PDCA)の促進」および「全社横串の統一的な活動による環境活動の効率性と信頼性の確保」のほか、「活動状況を体系的に明確化し、環境課題や規制などの変化に対する柔軟な対応」などがあるという。
環境経営評価・改善コンサルティングは、環境コンサルティングと改善コンサルティングに分けることができ、双方合わせて約100項目のオリジナル評価項目に基づいた評価を実施する。そして、評価を基に、それぞれに応じた差異を導き出すことで、課題出しや全体評価などを行う。
一方の環境保全活動評価・改善コンサルティングは、各企業の個別テーマごとに評価と改善を実施するもので、例えば環境負荷軽減プロセスの改革に向けたコンサルティングや、環境負荷軽減評価手法の確立、環境保全活動におけるソリューションの提供などを行うという。
いずれのコンサルティングについても、4月1日より提供を開始予定。価格は個別見積もりとしているが、1,000万円規模が想定されており、準大手ないし大手が対象となるという。ただし、中小企業向けに簡素化したサービスの提供も計画しているほか、サプライチェーンの問題などもあるため海外への展開も行っていくとしており、2011年度末までに330億円の売り上げを見込むとしている。