ユーザーによる製品レビューは、これから商品の購入を考えている人々にとって非常に参考になるものだ。だがこれがもし、製品メーカー自らが捏造したレビューだったとしたらどうだろうか。こうしたネットでの自作自演レビューが米国で話題になっている。

コンシューマ向けネットワーク機器メーカーの米Belkinは1月19日(現地時間)、同社従業員がユーザーに金銭供与を行うのと引き替えに同社製品を高い評価でレビューするよう依頼していた件について謝罪した。同社社長のMark Reynoso氏名義の声明文では、今回の問題の発端となったAmazon Mechanical Turkシステムから当該のリクエストを削除し、このシステムを介して投稿されたレビュー群をすべて削除していく方針だという。

今回の話はニュースブログサイトの米Daily Backgroundの1月16日(現地時間)の投稿にさかのぼる。Mechanical TurkはAmazon Web Services (AWS)のサービスのひとつで、コンピュータのプログラムでは難しい作業、例えば文章をイチから作成する作業などを、登録ユーザーに対して依頼することが可能なWebサービスだ。依頼主はこうした作業(HIT: Human Intelligence Tasks)を登録しておくことで、登録ユーザーが好みを依頼をチョイスしてその報酬を受け取る――という仕組みになる。

ところが、このMechanical Turkの中に「ある製品について100%ポジティブな意見を短めの英文でまとめてほしい。その製品を使ったことがあるかどうかについては問わない」という依頼があった。当該記事の筆者が依頼主のMike Bayardという人物についてSNSの「LinkedIn」で調べたところ、Belkinのセールス担当社員であることが判明した。この件についてのBelkinの回答が、上記の謝罪文となる。

Mechanical Turkで集められたレビューはAmazon.comのユーザーレビュー投稿に用いられていたほか、Buy.comやNeweggなどのオンラインストアなどのレビュー項目にも投稿されていたことが判明した。Belkinでは当該スタッフに注意するとともに、不正レビュー削除を関係各所と連携して引き続き行っていくとコメントしている。